福岡天神内視鏡クリニックブログ

大腸がんの発生経路について①

おはようございます。

今回は、大腸がんの発生経路に関してお話ししたいと思います。

残念ながらそのメカニズムはまだ完全に解明されてはいませんが、現時点では大腸がんが発生する経路は、5つあると考えられています。

詳しく説明すると非常に難しいお話しになるので簡単に2回に分けてご紹介したいと思います。

 

 

①adenoma-carcinoma sequence

腺腫(adenoma)と言われる良性のポリープが癌化していく経路です。

現時点で大腸がんの発生経路として最も多いと考えられている経路です。

隆起型(盛り上がった形状)の大腸がんの多くは、この経路による発生と考えられています。

定期的に大腸内視鏡検査を受け、腺腫があった場合、切除することで大腸がんを予防することが出来ます。

 

 

②de novo carcinoma

adenoma-carcinoma sequenceのように良性のポリープががん化していくのではなく、正常の大腸粘膜から突然大腸がんが発生する経路です。

表面型(盛り上がりのない平坦な形状)や陥凹型(くぼんだ形状)の大腸がんの多くは、この経路による発生と考えられています。

正常粘膜からいきなり大腸がんとして発生するため、表面型や陥凹型の病変はサイズが小さくても注意が必要です。

定期的な大腸内視鏡検査を受け、早期発見・早期治療することが大切です。

 

 

③serrated polyp neoplasia pathway

鋸歯状腺管構造をもつポリープには、hyperplastic polyp(過形成性ポリープ)、serrated adenoma(鋸歯状腺腫)、mixed hyperplastic adenomatous polyp(MHAP)、sessile serrated adenoma/polyp(SSA/P)がありますが、これらが癌化する経路です。

①や②の経路に比べると少ないと考えられていますが、これらのポリープも癌化すると考えられています。

特にhyperplastic polyp(過形成性ポリープ)は、以前はがん化の危険性のないポリープと考えられていましたが、近年ではがん化の可能性があると考えられています。

定期的に大腸内視鏡検査を受け、これらのポリープがあった場合、切除することで大腸がんを予防することが出来ます。

 

 

大腸がんは、非常に進行した状態であっても自覚症状が全くないケースも良くあります。

大腸がんをはじめとする消化管がんは、その発がんリスクに遺伝的な因子も関わるため、若いから絶対に大丈夫と言うことはありません。

全くお腹の症状がなくても35歳を目処に一度は大腸内視鏡検査を受け、その後は定期的な大腸内視鏡検査を受けることを強くお勧め致します。

 

 

私たちは皆さんが一人でも胃がんや大腸がんで亡くなるのを防ぎたいと思い、日々診療を行っています。

大腸がんの発生経路は色々ありますが、定期的に大腸内視鏡検査を受けていれば、必要以上に恐れる必要はありません。

お悩みの場合は、是非ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。