福岡天神内視鏡クリニックブログ

逆流性食道炎を考察する その19 逆流性食道炎の内視鏡による重症度分類

おはようございます。

これまでに逆流性食道炎の症状や気をつけるべき生活習慣などについてお話しをしてきました。

今回は逆流性食道炎の内視鏡による重症度分類についてお話ししたいと思います。

 

 

逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流し、食道に炎症を起こす病気です。

食道粘膜は手の皮膚と同じ細胞で出来ているため、主成分が塩酸である胃酸が逆流して食道粘膜に触れると、胸やけや呑酸、胸部不快感、みぞおちの痛みなどの症状が出現します。

手に塩酸がかかるとヤケドしますが、それと同じことが食道で起きていると考えるとイメージしやすいかもしれません。炎症がひどい場合には出血や吐血を来すこともあります。

 

逆流性食道炎の患者さんでは、胃内視鏡検査(胃カメラ)を行うと、多くの場合、食道粘膜に炎症が確認できます。

胃内視鏡検査(胃カメラ)で逆流性食道炎を認めた場合は、この粘膜傷害の程度からその重症度を診断します。

重症度分類は、下に示した「改訂ロサンゼルス分類」という基準を用いて行います。

 

 

【改訂ロサンゼルス分類】

Grade N(normal):内視鏡的に変化を認めない(正常粘膜)

Grade M(minimal change):びらんや潰瘍などの粘膜傷害は認めないが、下部食道の色調変化(発赤粘膜、白濁粘膜)を認めるもの

Grade A:粘膜傷害が粘膜ひだに限局し、長径が5mmを超えないもの

Grade B:少なくとも1カ所の粘膜傷害の長径が5mm以上で、他の粘膜傷害と連続していないもの

Grade C:全周の75%未満の連続した粘膜傷害を認めるもの

Grade D:全周の75%以上の粘膜傷害を認めるもの

 

全周の75%未満の連続した粘膜傷害を認めます。

改訂ロサンゼルス分類でGrade Cの逆流性食道炎です。

 

逆流性食道炎の症状はあるけれど、胃内視鏡検査(胃カメラ)検査を行っても、実際には食道の粘膜に炎症を起こしていないものGrade Nとして非びらん性胃食道逆流症(NERD)と診断します。

 

 

繰り返しになりますが、逆流性食道炎は、胃酸を増やす食事の摂取や暴飲暴食、ストレス、肥満や加齢などによる食道裂孔ヘルニア、糖尿病などによる消化管運動機能低下などが原因となり起こります

このため、一番大切な治療は生活習慣改善や食生活の改善などの原因の改善です。

この根本的な原因の改善を行わず、薬による加療だけを行っても効果があまり得られないだけでなく、一時的に効果があったとしても、薬の服用を中止するとすぐに再発してしまいます。

 

 

逆流性食道炎を指摘された場合は、生活習慣を改める良い機会です。まずは現在の習慣を一度見直してみましょう。

 

とはいえ、生活習慣の改善による治療は即効性がないため、今現在、逆流性食道炎の症状が強くて非常に辛い思いをしている場合は、生活習慣の改善を行いながら、その症状を緩和させるために薬による治療も併せて行います。

 

 

逆流性食道炎の治療に使う薬は、色々あるため、次回以降で逆流性食道炎シリーズの締めくくりとして何回かに分けてお話ししていきたいと思います。

症状でお悩みの場合は、是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。