おはようございます。
逆流性食道炎シリーズ第22回です。
今回は逆流性食道炎の薬物治療に用いられる胃酸分泌抑制薬であるH2ブロッカーについてお話しします。
胃酸は、アセチルコリンやヒスタミンという化学物質とガストリンというホルモンが胃粘膜の壁細胞にある受容体に結合すると胃壁細胞膜上に存在しているプロトンポンプというタンパク質から分泌されます。
H2ブロッカーはこの胃酸分泌を行う製造元にあたるプロトンポンプに命令を出す司令塔の1つであるヒスタミン受容体に結合し、その命令をブロックすることで、胃酸の分泌を抑制します。
前回お話ししたプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃酸を分泌する製造元自体をブロックするのに対して、H2ブロッカーは、胃酸分泌を命令する司令塔の一つをブロックするだけなので、胃酸分泌抑制力はPPIに比べると、弱くなります。
しかし、PPIは夜間の酸分泌抑制効果が弱いのに対して、H2ブロッカーは夜間に特に強力に作用するため、就寝中に酸逆流症状が強くなる方に有効です。
逆流性食道炎の患者さんに最初に投与するクスリはPPIですが、PPIだけでは症状の改善が乏しく、特に夜間に症状が残る方にH2ブロッカーは処方することが多いクスリです。
H2ブロッカーの服用は1日2回朝夕食後または朝就寝前です。
主な副作用としては、発疹や肝障害などがあります。
PPIほど強力な胃酸分泌抑制効果は無いため、PPIの長期投与で懸念された副作用のリスクは高くありませんが、胃酸分泌自体は抑えるためもちろんリスクはゼロではありません。
逆流性食道炎の一番大切な治療は生活習慣改善や食生活の改善などの原因の改善です。
これには患者さん自身の努力が必要です。
この根本的な原因の改善を行わず、薬による加療だけを行っても効果があまり得られないだけでなく、一時的に効果があったとしても、薬の服用を中止するとすぐに再発してしまいます。
逆流性食道炎を指摘された場合は、生活習慣を改める良い機会です。
まずは現在の習慣を一度見直してみましょう。
症状でお悩みの場合は、是非一度、ご相談ください。