おはようございます。
逆流性食道炎シリーズ第28回です。
今回は逆流性食道炎の治療に用いられる漢方薬についてお話しします。
実は、逆流性食道炎に対して漢方薬が単独で治療効果を発揮するという科学的根拠(エビデンス)はありません。
しかし、プロトンポンプ阻害薬(PPI)と漢方薬を併用した場合は、有効であるという報告がいくつかあります。
通常投与量のPPIの服用で症状の改善が認められない逆流性食道炎の患者さんをPPIを倍量に増量して投与したグループ(PPI倍量投与群)とPPIの投与量は通常投与量のままでそこに漢方薬を併用したグループ(漢方薬併用群)の二つのグループに分けて、それぞれのグループで症状改善に差がでるかを調べた研究があります。
この研究では、4週間の投与で漢方薬併用群はPPI倍量投与群と変わらない症状改善効果が報告されています。
逆流性食道炎の治療に用いられる漢方薬としては、六君子湯(りっくんしとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などがあります。
六君子湯は、胃の内容物を腸へ送り出す作用を促進させる効果があり、みぞおちのつかえ感などの症状改善効果が期待されます。
特に、やせ型の男性で効果的という報告があります。
半夏厚朴湯は、のどに異物がへばりついたような違和感があるときや咳やしわがれ声などの症状を改善する効果が期待されます。
半夏瀉心湯は、主にげっぷや胸やけの症状を改善する効果が期待されます。
逆流性食道炎の治療に用いられる薬は色々ありますが、一番大切な治療は生活習慣改善や食生活の改善などの根本的な原因の改善です。
この根本的な原因の改善を行わず、薬による加療だけを行っても効果があまり得られないだけでなく、一時的に効果があったとしても、薬の服用を中止するとすぐに再発してしまいます。
逆流性食道炎を指摘された場合は、生活習慣を改める良い機会です。
まずは現在の習慣を一度見直してみましょう。
症状でお悩みの場合は、是非一度、ご相談ください。