福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その1 そもそも便って何だろう?

おはようございます。

 

福岡天神内視鏡クリニックを受診される多くの患者さんが悩まれている「便秘」

少しでも悩まれている方のお役に立てるように今回から便秘を考察するシリーズを始めたいと思います。

 

 

その第1回目として、今回は「便ってそもそも何だろう?」って事についてお話しします。

「敵を知り己を知れば百戦殆うからず」です。

 

 

日々、ヒトの体内では、飲み物や食べ物などから摂取した水分だけでなく、生きているだけで体内から分泌される消化液(唾液・胃液・胆汁・膵液・腸液など)を合わせて1日に約10Lもの水分が消化管に流れ込んでいます。

消化管に流れ込む大量の水分のうち約90%は、小腸で再吸収され、体内に戻りますが、残りの水分が大腸に流れ込み便の材料になります。

多くの方が、便は固形というイメージを持たれているのではないかと思いますが、実は便の大半は水分から形成されています

 

 

私たちが健康な便と考える正常な便の水分含有量は70~80%にもなります。

この水分含有量が増えると下痢になり、下痢便の水分含有量は90%以上です。

便の水分含有量が60%程度になると、便が硬い硬便となり、大腸の屈曲部で引っかかりやすくなるため便秘になります

便秘の方の多くは、便自体に水分が足りていないのが原因です。

 

 

また、食事で食物繊維をしっかり摂取すると、便はかさが増し潤った便となり量も多くなりますが、食物繊維が足りず肉などの動物性の食事が中心になると便は乾燥し量が少なくなると言われています。

 

 

食事を摂る量やその内容によっても変わってしまいますが、日本人の1日の平均の排便量は100~200gと言われています。

このうち70~80%が水分で、残りが食物線維などの不消化物、胃や腸の分泌物や古くなって剥がれ落ちた腸管粘膜、腸内細菌から構成されています。

 

 

便には臭いがありますが、この臭いは腸内細菌が作る物質の影響を強く受けます

腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分類されますが、便の臭いは、このうち特に善玉菌と悪玉菌の影響を受けると言われています。

悪玉菌の影響を強く受けると便が臭くなり、善玉菌の影響を強く受けると臭いが和らぐのは、皆さんのご想像通りです。

では何故、腸内細菌の影響によって便の臭いが変わるのでしょうか?

 

 

悪玉菌のエサは肉などのタンパク質や脂質です。

悪玉菌がこれらのエサとなる物質を分解する時に嫌な匂いの原因となる物質が作られます。

食生活が偏り、肉や脂っこい物ばかり摂取すると、これをエサにする悪玉菌が増えるため、便のにおいが強く臭くなってしまいます

焼き肉やもつ鍋の翌日は、言うまでもなく・・・。

 

皆さんも経験あるかと思います。

 

 

便秘は悪玉菌が増える上に便の水分が少なくなるため、更に臭いが強くなります

 

一方、善玉菌のエサは食物線維やオリゴ糖です。

善玉菌が増加すると、相対的に悪玉菌が減るため便秘になりにくくなる上に、便の臭いも弱くなります

腸内環境を整えるために食物線維(特に水溶性食物線維)、ヨーグルトなどのオリゴ糖を含む物や発酵食品、整腸剤の摂取が推奨されるのは、これらをエサにする善玉菌が増え、便秘が改善するだけでなく、腸内環境が良くなるためです。

 

 

便の状態や臭いを毎日チェックすることである程度、自分の腸内環境(腸内細菌のバランス)を推測することが可能です。

毎日、便の状況をチェックし、食べている食事内容の見直しもしてみましょう!!

腸内環境を良くするには、まずは毎日の積み重ねが大切です。

 

 

腸内環境を良くするヨーグルトや整腸剤については、福岡天神内視鏡クリニック秋山院長のブログやYoutube動画を参考にしてみてください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。