小腸とSIBOについて
おはようございます。福岡天神内視鏡クリニックの秋山です。
さて、今回は、小腸について熱く語りたいと思います。
小腸ってだいたい6mくらいの長さがあります。
6mってすごいですよね。そんな長い腸がお腹の中に収めないといけないので、グネグネと折りたたまれてます。
さて皆さん、小腸にがんってできると思いますか？
できますが、非常に珍しいです。
なんで小腸にがんができにくいかと言うと、一番の要因は、小腸の粘膜のターンオーバーが早いからです。
ですので、もし仮にがんができたとしても、すぐに剥がれ落ちてしまうので、がんが定着しにくいんですよね。
それ以外にも一般的に、小腸の病気は非常に少ないです。
病気が少ないもんだから、今まで小腸は「ほったらかしの臓器」だったわけです。「腸管の暗黒大陸」というあだ名もつけられています。
そんな小腸の病気の中で最近にわかに注目されだしたのが、小腸内細菌異常増殖症 SIBO(シーボ)という病気です。
Small Intestinal Bacterial Overgrowthの頭文字をとってSIBOです。
これ、どんな病気かというと、簡単に説明すると、小腸の中で腸内細菌が異常増殖して、小腸内にガスが異常発生する病気です。
小腸内にはだいたい10の４乗個(1万)の腸内細菌が生息しているんですが、これが10倍以上に増えてしまいます。
小腸って、もともとガスがたまらない臓器なので、ガスに耐えるような構造をしてないんです。
それでお腹が張ったり、腹痛を伴ったり、下痢したり便秘したり、色んな症状が出てきます。
では、小腸の中で腸内細菌が異常増殖する原因ですが、
①小腸の動きが悪いため
→これは、糖尿病、膠原病、神経疾患など基礎疾患を持った方、また、ストレス、疲れなどで自律神経のバランスが崩れている方に起こります。
小腸の動きが悪くなり、食べ物がいつまでも小腸の中に残ってしまい、それをエサにした腸内細菌が増えてしまう、というケースです。
②胃酸が減少するため
→これは主に、胃酸を抑える胃薬の長期服用により起こります。胃酸の減少により、小腸内の細菌を殺菌することができなくなり、異常増殖するというケースです。
③食べ物の摂りすぎ
→元来、腸に良いとされている食物繊維や発酵食品などを過剰に摂りすぎることにより、腸内細菌が異常増殖するケースです。
このSIBOの診断方法ですが、最も用いられる検査が、呼気検査です。腸内細菌が、水素やメタンガスを発生するのですが、患者さんの呼気の中の水素やメタンガスを測定して調べる検査です。
これはまだ保険診療で認められていません。自費検査でだいたい4〜5万円程度かかります。
できる施設も限られています。福岡院ではまだ導入はしていませんのでご注意を。
それでは、このSIBOの治療ですが、まずは食事療法です。
炭水化物や食物繊維を過剰に食べている方は、控えめにすることから始まります。これだけでお腹の張りが改善する方がいます。
それでも治らない方は、腸を動かす薬を飲んだり、抗生物質を飲んで腸内細菌を減らしたりします。抗生物質での治療は、まだ保険診療では認められておりません。
SIBOという病気は、まだまだ多くの謎に包まれてた病気です。
お腹の張りで困っている方で、もしかしたらSIBOかも？という方は、まずは食事を気をつけることです。「傾聴」ならぬ「傾腸」で、どの食べ物が自分のお腹に合っていないかを知ることが必要です。
以上、小腸とSIBOの話でした。
スタバの限定商品である「ストロベリーフラペチーノ」です。かなり甘いですが、いちご好きにはたまらない一品です。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。
