福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その14 便秘の定義を再度考えよう!!

おはようございます。

前回、便秘の重症度のチェックリストについてお話しましたが、いくつ当てはまる項目があったでしょうか?

便秘で悩まれて当クリニックを受診される患者さんの多くは、半年以上便秘で悩まれている方が多く、長い方だと10年以上悩まれています。

 

 

実はこの中に実際には便秘ではないにもかかわらず便秘だと思い込み悩んでいる方が稀ですがいらっしゃいます。

医学的には、半年以上にわたって便秘の症状で悩んでいる場合を「慢性便秘症」として取り扱いますが、便が毎日出ない状態が半年以上続いてもそれだけでは、実はそれだけでは慢性便秘症ではありません。

便が出ないことで何らかのお腹の不快な症状を伴う状態が半年以上続くものが慢性便秘症なんです。

 

 

「便が毎日出ない」状態が便秘だと考え、「毎日便を出さなければいけない」と勘違いし、実は便秘ではないのに便秘だと悩んでいる方がいます。

また、実際にはただ、排便タイミングが毎日で無いだけで便秘でないにもかかわらず、便秘だと思い込み、毎日便を出そうと市販の下剤を服用する生活を続けるうちに下剤の影響で腸が動かなくなり、本物の便秘症になってしまった方もいらっしゃいます。

 

 

2017年に日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断・治療研究会により「慢性便秘症診療ガイドライン2017」が作成されましたが、このガイドラインでも、便秘は排便回数が少ない・排便タイミングが長いだけではなく、排出困難や残便感などの症状があって初めて慢性便秘症と診断され、治療が必要な状態として考えられています。

 

この診療ガイドラインでは、①硬い便である、②排出困難がある、③残便感がある、④排便回数が週3回未満である、という4項目のうち2項目以上を満たすものを治療の必要な便秘症として扱っています。

 

便が出るときに快適に排便が出来ていれば、実は排便回数や排便量は問題になりません。

治療が必要な病気としての便秘症は、排便回数や排便量ではなく排便に伴う困難さや残便感などの症状があるかどうかが大切になります

 

 

もともと体質的に排便は3日に1回しかない、1週間に1回しかない、という方もいます。

また、食事の摂取量が少ない人は当然排便量も少なく、排便回数も少なくなります。

食事内容が、食物繊維が少なく、消化されやすいものを好んで食べている場合、当然、便のかさも減ります。

 

 

そこで、治療が必要な便秘症かどうかを考えるときには、その人自身の無症状時(便が出ていないことが気になっていなかったとき)と便が出ていないことが気になり始めたときの比較が一番大切です。

便が出ていないことが気になりだしたとしても、排便があるまでの間に、お腹の張り、腹痛や吐き気、違和感などが無い場合は、排便タイミングが3日に1度でも1週間に1度でも、もともとそういう排便タイミングの体質と考えられ、治療が必要な状態ではありません。

 

無症状時(便が出ていないことが気になっていなかったとき)と比べて特に大きな変わりが無ければ、便が毎日出なくても、便の量が少なくても問題はありません。

しかし、便が硬くなっている、肛門で便が出にくい、排便に時間が掛かる、残便感や腹痛、お腹の張りがあるという場合は、排泄ルートとなる腸自体に何らかの異常が起きている可能性があります。

特に、急に便秘が悪化した場合や排便時に出血や血便がある場合は、便秘の期間や程度にかかわらず、必ず病院を受診し、大腸内視鏡検査を受けることを強くお勧め致します

お悩みの方は、是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。