おはようございます。医師の秋山です。
美味しいものを食べるとすごく幸せな気分になりますよね。私も美味しいものを食べるのが大好きです。
でも、美味しい食べ物を食べると、なぜ幸せな気分になるのでしょうか?
その答えは「腸」にあります。なんと、腸にも「味覚」があるのが最近の研究でわかってきたのです。
私たちは、元来、食べ物の「味」を「舌」で感じ取っています。
ここで、舌で感じる「味」とは
「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5つです。
具体的には、舌の上皮にある「味蕾」の「味覚受容体」というところでこの5つの「味」の識別をしています。
ところが近年、この「味覚受容体」が、小腸にも発見されました。
それでは、舌の「味覚受容体」と、小腸の「味覚受容体」の働きの違いは何でしょうか?
まず、舌の「味覚受容体」の働きは主に、食べ物自体を味わうことです。つまり、食べ物を「味」として認識することにあります。
それに対して小腸の「味覚受容体」の働きは、食べ物の栄養分を感知したり、食べ物の消化や吸収に必要なホルモンを分泌したり、体に悪影響を及ぼす毒素を検知したりします。
つまり、食べ物を「栄養」として認識するのです。
例えば、体にとって悪い「毒」を食べたと小腸が認識した場合、小腸の「味覚受容体」から脳に伝達され、嘔吐反射を促す指令を出します。
また、昆布や野菜などに含まれるグルタミン酸、魚や肉類などに含まれるイノシン酸、干しきのこなどに含まれるグアニル酸などのうま味成分を食べると、小腸の味覚受容体で検知されます。
すると、腸で満足感を感じてそれが脳にまで伝達され、食欲を抑えたり、幸せな気分や満足した気分になったりするのです。
このように、小腸に存在する「味覚受容体」は、食べ物を「栄養」として認識するだけでなく、私たちの行動や気持ちにも影響を及ぼしています。
いかがでしたでしょうか?人間の腸は非常に奥が深いですね。
私たちには「好きな食べ物」「嫌いな食べ物」があり、これは人それぞれです。
また、「今日はカレーが食べたいな」とか「今日は脂っこいものは食べたくないな」などと考えることがあります。
もしかしたらそれは、私たちが頭で考えていることではなく、「腸」が考えているのかもしれませんね。
以上、腸の味覚のお話でした。
先日、知人から頂いたどら焼きです。びっくりするくらい美味でした。私の腸も喜んでました。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。