福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その20 下剤の功罪その1

おはようございます。

多くの病気は、その治療のためにずっと薬を飲み続けても、薬の副作用が出て問題になることがあっても、治療のための薬を飲み続けることでその病気自体が悪化するケースはほとんどありません。

 

 

しかし、便秘の場合は、クスリを毎日服用し続けることで確実に症状は悪化していきます

もちろん、全てのクスリがダメと言うわけではありませんが、下剤の多くは便秘を確実に悪化させます

特にドラッグストアやインターネットなどで購入可能な下剤の多くは、服用することにより最初は良くてもそのうちに症状が確実に悪化してしまいます

そこで今回からは何回かにわたって下剤の良い点と悪い点についてお話ししていきたいと思います。

 

 

ドラッグストアやインターネットなどで購入可能な下剤の多くは、服用するとすぐに排便が得られて、非常にスッキリします。

特に食生活や運動不足の見直しなどの生活習慣の改善をしなくても、クスリを服用することで出したいときに出せるようになるため、多くの方はこんなことなら早くクスリを飲み始めれば良かったと安易にクスリを服用するようになってしまいます。

実はこれは、大変危険です。クスリを飲み続けることで確実に症状は悪化していきます。

これらの下剤の服用による排便は、便秘の原因を改善させたことで得られた排便ではありません。ただ単にクスリの作用で強制的に排便を得ているだけです

 

 

便秘で悩んでいる方の多くは、とにかく毎日便を出すことにだけにとらわれる傾向がありますが、これは将来的に便秘を更に悪化させることに繋がります。

便を毎日出すことにとらわれて毎日下剤を連用することは止めましょう

ただし、どうしても便が出せずに苦しいときにたまに服用して便を出すのは問題ありません。

下剤は、あくまでも急場の対処法として一時的に服用するだけにとどめましょう

 

 

便は私たちが食べたものを消化吸収した後のいわゆる残りカスです。

口から肛門までは1本の消化管でつながり構成されています。

食事をすると食べたものは口から食道を通って胃に入り、胃と十二指腸で消化され、小腸で栄養分が吸収され、大腸でさらに水分とミネラルが吸収されて残りカスが便として形成されます。

腸の働きのうち、排便に深く関与しているのが、腸の蠕動(ぜんどう)運動と直腸反射です

腸の蠕動運動で便が直腸にまで到達すると、脳がこの刺激をキャッチし、便意として反応します。

人間はこの便意を感じるからこそ、トイレに行き、排便することでスッキリできます。

しかし、多くの下剤は服用でこの腸のリズムを妨げることになるため、毎日連用していると自然排便が得られなくなってしまいます

 

 

食事や生活のリズムは乱れていませんか?

もしかすると便秘の原因になっているかもしれません。

まずは、自身の生活習慣を見直してみましょう。

 

 

次回はいわゆる刺激性下剤の危険性についてお話ししたいと思います。

お悩みの方は、是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。