福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その29 ねじれ腸・落下腸の便秘改善マッサージ

おはようございます。

前回までに、ねじれ腸と落下腸による便秘の特徴についてお話しましたが、今回はねじれ腸・落下腸による便秘を改善させるマッサージについてお話したいと思います。

 

ねじれ腸・落下腸による便秘を改善させるマッサージは、国立病院機構久里浜医療センターの内視鏡部長の水上健先生が考案されたマッサージ方法です。

 

このマッサージは、生まれつきの腸の形を変えて便秘を改善させるマッサージ方法ではありません

このマッサージは、ねじれ腸を正常腸に戻すマッサージでは無く、お腹を押さえて腸を揺らし、ねじれ腸・落下腸のねじれ部分を一時的に広げたり、緩めたりすることで、ねじれ部分の便のひっかかりを取り、あくまでも排便をサポートするマッサージ方法です。

このため、毎日継続することで、初めて効果を発揮します

他の生活習慣の改善とあわせて必ず毎日継続しましょう。継続は力なりです!!

 

 

ねじれ腸の人の便秘改善マッサージは、大腸後半の腸がねじれやすい下記の3大ポイントを重点的に刺激するのがポイントです。

(画像引用:ねじれ腸落下腸 水上健 主婦の友社)

 

便が肛門に向かって進んでいく順でねじれポイントを刺激すると効果的です。

次の順で刺激しましょう。

 

 

1)お腹の左上の曲がり角(横行結腸から下行結腸の曲がり角)をゆるめる上体ひねり

お腹の左上、左の肋骨の下の辺りは、腸がねじれ、急カーブになりやすいため、便がひっかりやすい場所です。

立った姿勢で上半身をひねる運動をすると横行結腸から下行結腸の曲がり角がゆるみ、この部分に引っかかっている便が通過し易くなります。

足を肩幅よりやや広めに開いて体がぐらつかない様にし、両手を左右に大きく広げます。

腕の力を抜いて左右を大きく回しながら上半身を大きくひねります。

上半身をひねるときに息を吐きながら行うのがコツです。

これを1分間続けましょう。

(画像引用:ねじれ腸落下腸 水上健 主婦の友社)

 

 

2)左わき腹から左下腹部の間の腸のねじれ(下行結腸のねじれ)をゆるめる左腹部のマッサージ

左わき腹から左下腹部へと縦に降りてくる下行結腸はねじれやすく、便がひっかりやすい場所です。

仰向けに寝て、足を腰の幅に開き、軽く膝をそろえて立てた状態で下行結腸をマッサージすると、ねじれがゆるみ、この部分に引っかかっている便が通過し易くなります。

両手の4本指(親指を除く人差し指から小指まで)を伸ばしたまま、左わき腹から左足の太ももの付け根まで、この部分を下に降りている下行結腸をマッサージするイメージで、上から下へと両側から左右交互に腸をゆらしながらトントンと押していきます。

左足の太ももの付け根までマッサージしたら、今度は逆に下から上に向かって同じように両側から左右交互に腸をゆらしながらトントンと押していきます。

これを1分間続けましょう。

(画像引用:ねじれ腸落下腸 水上健 主婦の友社)

 

 

3)おへその下の腸のねじれ(S状結腸のねじれ)をゆるめる下腹部のマッサージ

おへその下に位置するS状結腸はねじれやすく、便がひっかりやすい場所です。

仰向けに寝て、足を腰の幅に開き、軽く膝をそろえて立てた状態でS状結腸をマッサージすると、ねじれがゆるみ、この部分に引っかかっている便が通過し易くなります。

両手の4本指(親指を除く人差し指から小指まで)を伸ばしたまま、おへその両側に左右から手を当てます。このとき両手の間を10cm程あけます。

おへそから恥骨のすぐ上まで、この部分を通っているS状結腸をマッサージするイメージで、両手の間隔を10cm空けたまま上から下へと両側から左右交互に腸をゆらしながらトントンと押していきます。恥骨のすぐ上までマッサージしたら、今度は逆に下からおへそまで上に向かって同じように両側から左右交互に腸をゆらしながらトントンと押していきます。

これを1分間続けましょう。

(画像引用:ねじれ腸落下腸 水上健 主婦の友社)

 

ねじれ腸の便秘を改善させるマッサージは上記1)~3)の順でそれぞれ、毎日朝晩1日2回続けるのが大切です。

 

 

 

落下腸の便秘を改善させるマッサージは上記1)~3)に加えて次の横行結腸を押し上げるマッサージも追加して行いましょう。

 

4)骨盤内に落ち込む腸を押し上げるマッサージ

落下腸の場合、横行結腸が骨盤内に落ち込むため、便がひっかりやすくなります。

仰向けに寝て、足を腰の幅に開き、軽く膝をそろえて立てた状態でマッサージを行います。布団の上でリラックスして行うと腹筋がゆるみ、腸に刺激が届きやすくなります。

両手の4本指(親指を除く人差し指から小指まで)を伸ばしたまま、右ももの付け根に右手を、左ももの付け根に左手を当てます。

おなかが少し凹むくらいの強さで、骨盤内に落下している大腸を持ち上げるイメージで、おへその上まで、中央、左寄り、右寄りと押さえる位置を変えながら、押し上げるように揺らす動作を繰り返します。

これを1分間続けましょう。

 

 

如何だったでしょうか?

今回は凄く長くなってしまったので、次回はこのマッサージの効果を高めるコツをお話ししたいと思います。

お悩みの方は是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。