福岡天神内視鏡クリニックブログ

ピロリ菌を考察する その10 胃炎の内視鏡所見④ 点状発赤

おはようございます。

 

前回、ピロリ菌感染胃炎の中でもこの内視鏡所見があると、ピロリ菌の現感染(現在も胃にピロリ菌感染が継続している状態)があると考えられる「びまん性発赤」についてお話ししました。

 

今回は、前回同様にピロリ菌の現感染があると考えられる点状発赤についてお話ししたいと思います。

 

前回お話したびまん性発赤は、主に胃体部(胃の入り口付近の噴門部と胃の出口付近の幽門部を除く胃全体)の非萎縮性粘膜に観察される連続的な拡がりを持った均等な発赤調粘膜であったのに対して、点状発赤は胃体部から穹窿部(胃の一番上の部分)にかけて観察される大きさや形が不揃いな点状の凹凸のない発赤です。

点状発赤は、びまん性発赤を背景として出現する事が多く、ピロリ菌の除菌治療に成功すると自然に消退・軽減する事が多い所見です。

 

点状発赤は、ピロリ菌感染だけに特化した所見では無く、肝硬変などの肝臓が悪い人が起こす門脈圧亢進症でも認められる所見ですが、粘膜萎縮などの他のピロリ菌感染で認められる他の所見があるかどうかを組み合わせて評価することで、ピロリ菌の現感染を見逃すことなく評価することが可能となります。

 

図.胃体部と穹窿部にみられた点状発赤

大きさや形が不揃いな点状の凹凸のない発赤がみられる

春間賢.胃炎の京都分類.日本メディカルセンター,2014より転載

 

 

私たち消化器内視鏡専門医にとって、胃炎の京都分類で定義されている胃炎の内視鏡所見は、ピロリ菌感染の有無・胃がんリスクを評価する上で、非常に重要な所見です。

これらの所見を一つずつ丁寧に拾い上げていくことで、患者様一人一人のピロリ菌感染の状態や胃がんリスクを評価し、胃がんの早期発見・早期治療を目指しています。

 

専門的な難しいお話しだったと思いますが、私たち消化器内視鏡専門医は、これらの所見を見落とすこと無く、拾い上げて胃カメラ検査時に患者様一人一人のピロリ菌感染診断、ひいては将来の胃がんの発生リスクを推測し、必要な内視鏡検査のフォローアップのタイミングを提案したりしています。

 

日々、胃がんで亡くなる人を一人でも減らしたいという想いで日々、頑張っています。

ご家族にピロリ菌感染していた人がいる、胃がんにかかった人がいる、胃の不快な症状があるなどがある場合は、若くても一度は胃カメラ検査を受けましょう。

ご不明な点がありましたら、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。