福岡天神内視鏡クリニックブログ

ピロリ菌を考察する その17 ピロリ菌感染診断1 検査法総論

おはようございます。医師の細川です。

 

今回からはピロリ菌の感染診断についてお話ししたいと思います。

ピロリ菌の感染診断には、いくつか検査方法があります。

そこで、今回はまずピロリ菌感染診断の検査法の総論についてお話しします。

 

ピロリ菌の感染診療では、ピロリ菌の感染診断と除菌治療後の除菌判定は極めて重要で、この診断は正確に行われる必要があります。

この診断を誤ってしまうと、ピロリ菌に感染しているにもかかわらず胃がんのリスクが低いと判断してしまったり、除菌判定を誤った場合は、感染の持続を見逃し胃がんのリスクが高いままになってしまったり、感染していないにもかかわらず感染ありと判断すると、不要な除菌治療が行われることに繋がり、患者さんに不利益を与えてしまいます。

 

残念ながら、ピロリ菌の感染診断において、未だに感度・特異度がいずれも100%の検査は存在しないため、診断の各検査法の特徴を把握した上で、内視鏡検査を含めて必要に応じ、複数の検査を組み合わせて診断することが肝要となります。

 

ピロリ菌の感染診断には、様々な検査がありますが、内視鏡検査を要する検査と内視鏡検査を要しない検査の大きく2つに分けられます。

 

内視鏡専門医を要する侵襲的な検査には、培養法、鏡検法、迅速ウレアーゼ試験の3つの検査がありますが、これらの検査では内視鏡検査時にピロリ菌感染があると思われる部位から胃粘膜の組織を一部採取する生検が必要です。

 

内視鏡検査を要しない非侵襲的な検査としては、血中抗ピロリ菌抗体検査、便中ピロリ菌抗原検査、尿素呼気試験があります。

 

いずれの検査も偽陰性と偽陽性の可能性があるため、ピロリ菌の感染診断を行うためには、複数の検査を行うことが望ましいと考えられています。

また、内視鏡検査で実際に胃粘膜を観察することが、ピロリ菌感染の状況を判断する上で重要となります。

 

各ピロリ菌感染診断の結果と内視鏡検査での胃粘膜所見に矛盾がないかを評価し、両者の結果に乖離がある場合は、追加で他のピロリ菌の感染診断検査を行うことが大切です。

 

私たち消化器内視鏡専門医は、これらの検査結果を一つずつ丁寧に拾い上げていくことで、患者様一人一人のピロリ菌感染の状態や胃がんリスクを評価し、胃がんの早期発見・早期治療を目指しています。

 

私たちは、日々、胃がんで亡くなる人を一人でも減らしたいという想いで日々、頑張っています。

ご家族にピロリ菌感染していた人がいる、胃がんにかかった人がいる、胃の不快な症状があるなどがある場合は、若くても一度は胃カメラ検査を受けましょう。

 

次回からはピロリ菌の各感染診断法についてお話ししたいと思います。

細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。
2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。