福岡天神内視鏡クリニックブログ

ピロリ菌を考察する その18 ピロリ菌感染診断2 血中抗ピロリ菌抗体検査について

おはようございます。医師の細川です。

 

前回は、ピロリ菌感染診断の検査法の総論についてお話ししました。

今回からはピロリ菌の各感染診断法についてお話ししたいと思います。

そこで、今回はまず血中抗ヘリコバクター・ピロリ菌抗体検査についてお話します。

 

血中抗ヘリコバクター・ピロリ菌抗体検査は、血液中の抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を測定する検査です。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると体内に抗体というタンパク質が作られますが、この抗体価を測定することでピロリ菌の感染の有無を診断する検査です。

 

一般的に抗体価はピロリ菌の菌量を反映しているため、抗体価が高ければ高いほど、感染している菌量が多いことを意味しますが、過去の感染も認識するため、除菌後も陽性となることがあります。

 

以前は日本国内では、ヘリコバクター・ピロリ菌の国内株から抽出した抗原を利用したキットであるEIA法によるE-プレートという検査方法が主流でした。

EIA法は診断精度が非常に高い検査でしたが、測定に時間がかかることと、検査コストが高く、現在の主流は測定時間が短く、検査コストが安いラテックス法となっています。

 

しかし、ラテックス法は、EIA法と比べて、偽陰性(ピロリ菌に感染していないにもかかわらず抗体価が高値となる)が多いと報告されており、ヘリコバクター学会も血清抗体が陽性というだけで除菌治療を行うことは推奨しないとしています。

 

保険診療でピロリ菌の除菌治療を行う際には、事前に胃カメラ検査を行う必要があるため、内視鏡所見と併せてピロリ菌の感染診断が可能となるため、この偽陽性の問題は影響がほぼありませんが、胃カメラ検査時に迅速ウレアーゼ試験などを行い、ピロリ菌の現感染を評価することが大切です。

 

ピロリ菌感染を診断する各検査の結果と内視鏡検査での胃粘膜所見に矛盾がないかを評価し、両者の結果に乖離がある場合は、追加でさらに他のピロリ菌の感染診断検査を行うことが大切です。

 

私たち消化器内視鏡専門医は、これらの検査結果を一つずつ丁寧に拾い上げていくことで、患者様一人一人のピロリ菌感染の状態や胃がんリスクを評価し、胃がんの早期発見・早期治療を目指しています。

 

私たちは、日々、胃がんで亡くなる人を一人でも減らしたいという想いで日々、頑張っています。

ご家族にピロリ菌感染していた人がいる、胃がんにかかった人がいる、胃の不快な症状があるなどがある場合は、若くても一度は胃カメラ検査を受けましょう

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細川 泰三医師

国立鹿児島大学医学部卒業。
麻生飯塚病院、北九州市立医療センター、国立病院機構福岡東医療センターで多数の消化器内視鏡検査・治療に従事。
2020年4月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。