福岡天神内視鏡クリニックブログ

ピロリ菌を考察する その25 ピロリ菌に関するよくある質問

おはようございます。

 

前回は、ピロリ菌に関するトリビアとして、ピロリ菌の種類の違いによる毒性の違いについてお話ししました。

今回は、診療中にピロリ菌について患者さんから良くある質問に関してお話したいと思います。

 

【よくある質問1】

夫婦間での感染はありますか?

 

回答:

ありません。

ピロリ菌の感染は5歳まで、特に2歳未満で感染するケースが多いと考えられています。

現在の日本の衛生環境では成人後に感染するケースは非常にまれで、夫婦間での感染はほぼ無いと考えられています。

 

 

【よくある質問2】

子供に感染させるリスクはありますか?

 

回答:

感染リスクがあります。

ピロリ菌感染は、ピロリ菌に汚染された井戸水の摂取などや感染者の唾液や糞便を介した経口感染が原因と考えられています。

現在の日本の衛生環境では、メインの感染源は、ピロリ菌に感染した両親や祖父母、兄弟からの感染です。

子供の幼少期は、コップや箸などの共用は避けましょう。

 

 

【よくある質問3】

子供のピロリ菌検査はいつ頃すれば良いですか?

 

回答:18歳以降のなるべく早い時期での検査をオススメします。

現時点で小児では、除菌治療のエビデンスは乏しく、除菌治療に伴う副作用などのデメリットの観点から推奨されていません。

このため、成人と同様の除菌治療が可能となる18歳以降のなるべく早い時期での検査をオススメします。

保険診療では、ピロリ菌感染を調べる検査をする前に胃カメラ検査を先にしておかなければならないというルールがあります。

このため、保険診療での検査や除菌治療を希望される場合は、事前に胃カメラ検査受診が必要です。この点からも18歳以降での検査をオススメしています。

ただし、自費診療での検査・治療を希望される場合は、胃カメラ検査受診は不要となります。

 

 

【よくある質問4】

除菌治療後に再度、感染することはありますか?

 

回答:除菌後再感染は非常にまれです。

除菌治療後のピロリ検査陽性例のほとんどは再感染ではなく、除菌不成功例の再燃です。

ただし、ピロリ菌に汚染された水を日常的に摂取する環境であるなどの衛生環境が良くない場合、除菌後も再感染します。このため、先進国では除菌後再感染はほぼ無く、発展途上国では除菌後も再感染が見られると報告されています。

 

如何だったでしょうか?

ピロリ菌に関する皆さんの疑問が少しでも解消されれば幸いです。

 

私たちは、日々、胃がんで亡くなる人を一人でも減らしたいという想いで日々、頑張っています。

ご家族にピロリ菌感染していた人がいる、胃がんにかかった人がいる、胃の不快な症状があるなどがある場合は、若くても一度は胃カメラ検査を受けましょう。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。