おはようございます。
当院は受診される患者さんの年齢層が比較的若いです。
このため、胃の調子が悪いから原因を調べてみたいけど、胃カメラ検査まで受けるのはちょっと怖い・・・、っていう患者さんが多くいらっしゃいます。
そこで今回から胃カメラ検査がどんな検査なのかを簡単に解説していきたいと思います。
実は胃内を直接観察可能なファイバースコープ付きの胃カメラが登場したのは、1964年(昭和39年)です。その後、様々な改良がなされ、現在のようなハイビジョン内視鏡システムを搭載した胃カメラが2002年に登場しました。
この素晴らしい医療機器のお陰で飛躍的に診断能が高まり、多くの胃がん患者さんを早期発見・早期治療へと導くことが可能になりましたが、実はその歴史は以外と浅く、胃がん検診の検査として胃カメラ検査が受けることが出来るようになったのも比較的最近の話なんです。
このため、胃がん検診の検査としては、胃X線検査が主流でした。
もちろん胃カメラ検査自体は、登場して20年以上の歴史があるため、人間ドックなどの自費の検査、胃の不調な症状がある方や胃がん検診の胃X線検査で異常を指摘された方の精密検査などの保険診療としての胃カメラ検査は行われていました。
しかし、各市町村が費用負担する対策型胃がん検診といえば長く胃X線検査が中心でした。
このため、胃がん検診といえば胃X線検査の方を多くの人が思い浮かべるかもしれません。
胃がん検診として胃カメラ検査が導入されるようになったのは、実はまだ比較的最近のことで厚生労働省より「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」が通知された2016年からです。
それまで胃がん検診は、胃X線検査のみであったため、「胃がん検診=胃X線検査」というイメージが定着しています。
もちろん胃X線検査も胃がん検診として有用な検査ではありますが、胃X線検査で発見される胃がんの数は、1年間で発見される胃がん全体の5%程度にすぎないと報告されています。
発見された胃がんのほとんどは胃カメラ検査で発見されています。
この理由は、胃カメラ検査は胃粘膜のちょっとした異常も直接観察可能であり、必要に応じて異常のある部位から組織を一部採取し、病理組織検査も可能なため、自覚症状がないような早期胃がんも発見しやすいためです。
もちろん胃X線検査の方が発見しやすい胃がんもありますが、多くの胃がんは胃カメラ検査の方が発見しやすいと考えられています。
せっかく、年1回胃に病気が無いかを調べるために検査を受けるのであれば、胃がんの早期発見に非常に適した胃カメラ検査で受けることを強くお勧め致します。
次回以降も胃カメラ検査を身近に感じてもらうため、どんな検査なのかについてお話ししたいと思います。
ご不明な点があれば、是非クリニックにご相談ください。