福岡天神内視鏡クリニックブログ

胃カメラ検査ってどんな検査? その3

おはようございます。

前回は、胃カメラ検査はどんな検査なのかについてお話ししました。

今回は、胃カメラ検査がキツくなるのはどうしてなのか、胃カメラ検査を楽に受けるためにはどうすれば良いのか、についてお話ししたいと思います。

 

胃カメラ検査がキツい検査になる一番の理由は、検査中にオエっとえずく原因となる咽頭反射が原因です。

咽頭反射は、歯磨きの際、歯ブラシがのどに当たったときなどに起こるオエっとなる反射です。

人間は自分の意に反して、物が喉の方に入ってくるとオエっとなることでそれを吐き出そうとする防御反射が起こります。これが咽頭反射の正体です。

この反射は、若い人ほど強く起こるため、胃カメラ検査は、受ける方の年齢が若ければ若いほど、非常にキツい検査となる可能性があります。

年齢が上がってくるにつれて、咽頭反射は弱くなってくるため、実は高齢の方ほど胃カメラ検査を受けるのは楽になってきます。

とはいえ、高齢の方でも意識がある状態での胃カメラ検査では、この咽頭反射があるため、キツい検査であることには違いありません。

 

この咽頭反射が起こる医学的なメカニズムは、舌根部(舌の付け根部分)に物が当たる事です。

口からの胃カメラ検査の場合、胃カメラがのどを通るときに必ずカメラがこの舌根部に当たってしまうため、オエッとなる咽頭反射が誘発されてしまいます。

一度、この咽頭反射が出現すると胃カメラが口内にある限り、検査中はずっと継続してしまいます。

そうなると5〜10分の検査中ずっとオエオエなり続けることになるため、それはもう地獄絵図のような状態になり、その結果、「胃カメラ検査=キツい検査」となってしまうのです。

 

前述したように、年齢が若い人ほど、この反射は強く出やすいため、このキツい胃カメラ検査を若い頃に経験してしまうと、中年以降になって検査が必要になっても拒絶してしまう原因となってしまいます。

 

では、どうすれば咽頭反射を起こすこと無く、楽に検査を受けることが出来るのでしょうか?

このための方法としては2つの方法があります。

 

1つ目は、口から胃カメラのスコープを胃に挿入する経口内視鏡検査ではなく、鼻から胃カメラのスコープを胃に挿入する経鼻内視鏡検査で検査を行うことです。

経鼻内視鏡検査で使用するスコープは経口内視鏡検査で使用するスコープよりも2/3程度の太さしかなく細いだけでなく、スコープが嘔吐反射を引き起こす原因となる場所である舌根部を通らずに鼻から鼻腔を通って直接、食道にアプローチが可能です。

このため、経鼻内視鏡検査は経口内視鏡検査に比べると検査中にオエッとなりにくく、意識がある状態での検査として比較すると楽に検査を受けることが可能です。

とはいえ、内視鏡専門医としては経鼻内視鏡は、あまりお勧めしません。

経鼻内視鏡検査を一度でも受けたことがある方であれば、イメージできると思いますが、鼻腔は意外と狭いことが多く、またクネクネと曲がっていることも多く、スコープが鼻腔を擦って鼻血が出たり、痛みを誘発したりと想定外にキツくなることもよくあります。

また、何のために胃カメラ検査を受けているのか?という一番大切な点を考慮してください。経鼻内視鏡検査のスコープは経口内視鏡検査のスコープよりもカメラとしての性能が劣るため、精密検査には適しません。

胃カメラ検査を受ける目的は、「胃カメラ検査を楽に受けること」ではありません。

検査を受ける最も大切な目的は「食道がんや胃がんなどの病気を見落とし無く見つけることで早期発見・早期治療につなげること」です。

手段と目的を取り違えてはいけません。

これが、内視鏡専門医として経鼻内視鏡検査はあまりお勧めしない目的です。

 

 

胃カメラ検査を楽に受ける方法の2つ目は、「鎮静剤を使用した胃カメラ検査を受けること」です。

鎮静剤を使用すると、咽頭反射が抑えられるため、身体への負担が非常に少なくなります。

また、鎮静剤の使用は、眠っている間の検査実施を可能にするため、苦痛も無く検査を終えることが可能です。

苦痛なく楽に検査を受けることが可能になるだけでなく、詳細な精密検査も可能にする経口内視鏡検査での胃カメラ検査受診を強くお勧めいたします。

 

福岡天神内視鏡クリニック消化器福岡博多院では、検診の胃カメラでも経口内視鏡を用いた胃カメラ検査のみを行い、胃内をさらに詳しく観察しています。

 

ご不明な点があれば、是非クリニックにご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。