おはようございます。
前回、前々回と大腸がんのリスク因子である年齢と性別、遺伝的因子に関してそれぞれお話ししました。
今回は、大腸がんのリスク因子の1つである環境因子に関してお話します。
環境因子って難しい言葉ですよね。
何だろうそれって思ったのではないでしょうか?
実は飲酒、喫煙、食事、運動といった生活習慣を環境因子といいます。
世界中で多数の生活習慣と大腸の発がんの関係に関する疫学研究が報告されており、これまでに数々の生活習慣と大腸がんの発がんの関係が明らかにされてきました。
次のような環境因子が特に大腸がんとの関連が深いと考えられています。
【大腸がんの発生に確実に影響を与える環境因子】
・男性の飲酒過多
・赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉)
・加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージ)
・喫煙
・肥満
・腹部肥満
・高身長
【大腸がんの発生に影響を与える可能性が高いと考えられる環境因子】
・女性の飲酒過多
【大腸がんの発生を確実に抑える環境因子】
・運動
【大腸がんの発生を抑える可能性が高いと考えられる環境因子】
・食物繊維を多く含む食品
・ニンニク
・牛乳
・カルシウム
・コーヒー
もちろん、これらの環境因子のみが原因となり大腸がんが出来るわけではありません。
これまでお伝えしてきたように、①年齢、②性別、③遺伝的因子、④環境因子という複数のリスク因子が複雑に絡み合い大腸がんが発がんすると考えられています。
①年齢、②性別、③遺伝的因子は努力しても変えられないため、せめて④環境因子だけでも変えますと思われたかもしれません。
でも大腸がんのリスクを下げるために、「明日から肉を食べるのをやめます。お酒も飲みません」といった極端な生活をする必要はありません。
なぜならば、大腸がんは定期的な内視鏡検査を受けていればある程度予防が出来るがんだからです。
定期的に大腸内視鏡検査を受け、ポリープがあった場合は、切除すれば予防が可能です。
もちろん、これらのリスク因子の摂り過ぎは避けなければなりませんが、これらも通常範囲で摂取しつつ、定期的な大腸内視鏡検査で大腸がんの予防をするというのが最もコストパフォーマンスが高くお勧めです。
消化管がんは、その発がんリスクに遺伝的な因子も関わるため、若いから絶対に大丈夫と言うことはありません。
血便や原因不明の貧血がある、便通異常があるなど症状がある場合は、一度、胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査を受けましょう。
私たちは皆さんが一人でも胃がんや大腸がんで亡くなるのを防ぎたいと思い、日々診療を行っています。
お悩みの場合は、是非ご相談ください。