福岡天神内視鏡クリニックブログ

改めましてピロリ菌について②

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

ゴールデンウイークは、いかがでしたか。

しっかり休養、また満喫できたでしょうか。

 

さて、今回は前回の続きです。

「ピロリ菌の治療」についてお話ししたいと思います。

 

 

● ピロリ菌の治療➀

3種類の薬を朝夕2回、7日間服用します。

これを一次除菌といいます。

一次除菌は、胃酸の分泌をおさえる胃薬(プロトンポンプ阻害薬、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)と2種類の抗生物質(アモキシシリンとクラリスロマイシン)を用います。

除菌薬内服終了後、4週間以上あけて除菌の判定を行います。具体的には、尿素呼気試験を用いてもう一度ピロリ菌を調べます。

約70%~90%の方は除菌に成功します。

 

●ピロリ菌の治療②

一次除菌に失敗した場合、もう一度除菌治療を行うことを二次除菌といいます。

二次除菌は、一次除菌と同じように、3種類の薬を朝夕2回、7日間服用します。

一時除菌とは別の抗生物質に変更します。

二次除菌では、約80~90%の方は除菌に成功します。

 

※ 二次除菌に失敗したら

ピロリ菌の専門家に紹介してもらってください。

「保険によらないピロリ菌の除菌治療」などがあります。

 

●除菌治療の副作用

1. 下痢・軟便

頻度として最も多く、約10~30%の方に起こります。

2. 味覚異常

食べ物の味がおかしく、苦味や金属のような味がすることが5~15%の方に起こります。

3. 皮膚の異常

皮膚にじんま疹や発疹などの異常が現れることがあります。

 

いずれの副作用も軽度であれば、内服を続けて構いません。

症状がひどい場合は、すぐに内服を中止し、医師に相談してください。

 

● ピロリ菌除菌後は

・胃がんの発生、再発が半数~3分の1に減少します。

・胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、再発をほぼ抑制できます。

・胃マルトリンパ腫は、60%~80%で治癒します。

・胃過形成性ポリープは、約70%で縮小、消失します。

・機能性ディスペプシアは、一部で上腹部症状が改善します。

次世代(子供)へのピロリ菌感染を予防できます。

ピロリ菌の再感染はないと考えられます。

 

●さいごに

除菌により様々な恩恵がありますが、

除菌によって完全に胃がんは抑制できません。

除菌が成功したあとでも、胃がんが発見されることがありますので、

定期的に胃の内視鏡検査や胃がん検診を受けるようにしてください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。