福岡天神内視鏡クリニックブログ

感染性腸炎②

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

夏に着実に近づいています。

私は夏生まれですが、暑さが苦手です。

早く秋になってほしいです。

 

さて、今回は

「感染性腸炎」の症状や潜伏期間、治療についてお話ししたいと思います。

 

 

感染性腸炎の症状

● 感染性腸炎は下痢、発熱、腹痛、悪心、嘔吐などの症状がみられることが多いです。とくに下痢はほぼ必発です。

● 血便をきたす感染性腸炎はほとんどが細菌性腸炎です。

● 血便の頻度が高いのは腸管出血性大腸菌腸炎とアメーバ性大腸炎であり、次いでカンピロバクター腸炎とサルモネラ腸炎が多いです。

● 高熱を伴う激しい水様便の場合には、サルモネラ腸炎、カンピロバクター腸炎、ロタウイルス腸炎などを考えます。

● 腸管出血性大腸菌腸炎では、発熱は軽度かみられません。

● エルシニア腸炎は、腹痛と発熱が主な症状で、下痢は軽度かみられません。

腹痛は激しいことが多く虫垂炎と間違われることも多いです。

● ノロウイルス腸炎は、嘔吐と下痢が多く、発熱はないかあっても軽度です。

● ロタウイルス腸炎は乳幼児に多く、発熱、下痢、嘔吐などがみられます。白色便が特徴です。

 

感染性腸炎の診断

● 診断には詳しい問診が重要であり、症状とその発現時期、食事摂取歴、最近の旅行歴(特に発展途上国)、最近の抗菌薬使用歴、基礎疾患の有無などを聞きます。

● 細菌性腸炎の確定診断は便や腸液を培養して検出します。

● ウイルス性腸炎の確定診断は、吐物や便からウイルスに特異的な物質や遺伝子の検出によります。

● 日常診療では、培養検査など結果に時間を要するため、問診で診断を予測することが多いです。

 

感染性腸炎の潜伏期間

1-6時間:黄色ブドウ球菌、 8-14時間:腸炎ビブリオ、エロモナス

8時間-2日:サルモネラ  12時間-3日:腸管毒素原性大腸菌、

12時間-2日:ノロウイルス  2-3日:ロタウイルス

2-8日:腸管出血性大腸菌、キャンピロバクター

2-3週:アメーバ赤痢

 

感染性腸炎の原因食品

鶏肉:キャンピロバクター、サルモネラ

牛肉:腸管出血性大腸菌、サルモネラ

豚肉:エルシニア、サルモネラ、キャンピロバクター

魚介類:腸炎ビブリオ、エロモナス

二枚貝:ノロウイルス

アジ・サバ・イカ:アニサキス

鶏卵:サルモネラ

 

  • 潜伏期間や原因食品によっても腸炎の原因菌やウイルスの予測がある程度できます。

 

感染性腸炎の治療

感染性腸炎は、一般的には自然治癒傾向が強いため、治療の原則は対症療法(整腸剤などの保存療法)であり、抗菌薬は必要ないことが多いです。

下痢に伴う脱水には点滴による輸液を行います。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。