みなさんこんにちは。
萱嶋です。
今年は、まだ梅雨らしい天気ではありませんね。
これまでのデータでは6月下旬から7月初旬までの期間の降水量が最も多いそうです。
今からが梅雨本番です。
豪雨に気を付けなければなりません。
今回のテーマも引き続き、「下痢」についてです。
特に、診療でよく遭遇する
「過敏性腸症候群」について、概説いたします。
「過敏性腸症候群(irritable bowel syndromeの頭文字をとって「IBS」といいます)」は、
腹痛や腹部の不調があり、便秘や下痢などの便通異常が数ヵ月以上続きます。
大腸に腫瘍や炎症などの病気がないことが条件です。
女性のほうが多く、年齢とともに減ってきます。
腹痛や、便秘・下痢、不安などの症状のために日常生活にしばしば支障をきたします。
IBSの病態
ストレスや心理的異常(うつなど)によって不安状態になると、腸の収縮運動が激しくなり、痛みを感じやすい知覚過敏状態になります。
この状態が強いことがIBSの特徴です。
IBSの診断
診断には国際的に用いられているローマⅣ基準を用います。
・腹痛が
・最近3か月の中の1週間につき少なくとも1日以上を占め
・下記2項目以上の特徴を示す
➀排便に関連する
②排便頻度の変化に関連する
③便形状の変化に関連する
さらに、確定診断のためには、大腸がんや炎症性腸疾患などがないかを調べます。
症状、経過や全大腸内視鏡検査などを組み合わせることで診断できます。
症状によって
便秘型(IBS-C)、下痢型(IBS-D)、混合型(IBS-M)、分類不能型(IBS-U)に分類されます。
IBSの治療
食事療法
脂質、カフェイン、香辛料を多く含む食品やミルク、乳製品を控えるとよいです。
運動療法
ヨガ、ウォーキング、ストレッチなどで効果があります。
食事療法や運動療法でもよくならない場合は、薬による治療を行います。
消化管機能調節薬や、プロバイオティクス、高分子重合体を用います。
下痢型IBSの方には、腸の運動異常を改善させるセロトニン3受容体拮抗薬(5-HT3拮抗薬)、
便秘型IBSの方には便を柔らかくする粘膜上皮機能変容薬も用いられます。
過敏性腸症候群は、食事療法・運動療法と合わせて薬物療法を行うことで改善します。
気になる症状がある方は早めにご相談ください。