福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘のこと➀

みなさん、こんにちは

萱嶋です。

 

先週は災害級の雨続きでした。

豪雨の中、通院してくださる皆様、くれぐれもお気をつけていらっしゃってください。

また、暑い日も続いています。

熱中症にならないよう、こまめに水分摂取してください。

 

今回は、「便秘」についてです。

「便秘」で悩まされている方は、少なくないと思います。

数回に分けて概説いたします。

 

 

「便秘」とは

本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出出来ない状態

と定義づけされています。

 

「便秘」とは、症状名や疾患名ではなく、

・排便回数や排便量が少ないために大腸内に滞った状態

・直腸内にある糞便を快適に排便できない状態

です。

 

しかし、

・排便回数が少ないから

・排便困難感や残便感がある

といっても、必ずしも便秘症ではありません。

何らかの理由で経口摂取量が減少している場合は

本来体外に排出すべき糞便

の量が少ないため、

排便回数や排便量が少ないことは当然といえるからです。

 

また、強迫観念のために

本来体外に排出すべき糞便

が直腸内に存在しないにもかかわらず、

残便感を訴え、頻回にトイレに行く場合も、便秘症とはいえません。

 

「慢性便秘症」の分類については

以下のようなものがあります。

 

1. 器質性便秘

大腸の形態的変化に伴う便秘

 

a)狭窄性

狭窄に糞便の通過が物理的に障害されることによっておこる便秘

原因:大腸がんやクローン病、虚血性大腸炎など

 

b)非狭窄性

狭窄はないが大腸の形態的変化によっておこる便秘

➀排便回数減少型

大腸が慢性的に著明に拡張し、糞便の通過が遅れ、排便回数や排便量が少なくなる便秘

原因:巨大結腸

②排便困難型

直腸の形態的変化によって、直腸にある糞便を十分かつ快適に排便できず、排便困難や残便感をおこす便秘

原因:直腸瘤、S状結腸瘤、巨大直腸症

 

2. 機能性便秘

大腸の形態的変化を伴わない便秘

 

a)排便回数減少型

排便回数や排便量が低下して、大腸に便がより多く貯留するため、腹部膨満などの症状をおこす便秘

大腸内での糞便の停滞時間が長いため、便が硬くなり排便困難をおこす場合もあります。

➀大腸通過遅延型

大腸が糞便を輸送する能力が低下しているため、便秘となる状態。

原因:原因不明、薬剤性、症候性など

②大腸通過正常型

大腸が糞便を輸送する能力が正常にもかかわらず、便秘となる状態。

原因:食事摂取量や食物繊維成分が少ないため、糞便量が減り、便が硬く便秘となります。

 

b)排便困難型

排便時に直腸内の糞便を十分かつ快適に排便できず、排便困難や残便感をおこす便秘

➀大腸通過正常型

排便回数や排便量が減っていないにもかかわらず、硬い便のため排便困難となる状態です。

原因:便秘型過敏性腸症候群

②機能性便排出障害

機能的な障害によって、直腸にある糞便を十分かつ快適に排便できず、排便困難や残便感をおこす便秘です。

原因:骨盤底筋協調運動障害、腹圧低下、直腸感覚低下、直腸収縮力低下

 

次回も便秘症の続きです。

よろしくお願いいたします。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。