福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘のこと③

みなさん、こんにちは

萱嶋です。

 

やっと九州北部の梅雨が明けました。

今年は想像し難い雨が続きました。

生活に水は必要不可欠ですが、災害級の雨はつらいですね。

しかし、自然に抗うことはできません。

人の無力さを感じます。

さて、今回も便秘について、引き続き概説いたします。

便秘の治療について述べます。

 

便秘の治療

 

➀生活習慣の改善

・食物繊維の摂取

成人男性20g以上、成人女性18g以上が推奨されています。

米や豆類由来の食物繊維が多く含まれる食事やヨーグルトなどの乳酸菌食品が有効とされています。

・運動

運動が便秘に有効とされていますが、どれほどの運動が有効とされているかは不明な点が多いです。

・腹壁マッサージ

1日15分、週5回の腹壁マッサージが有効とされています。

 

②プロバイオティクス

プロバイオティクスとは、適正な量を摂取したときに有用な効果をもたらす生きた微生物のことを指します。

ビフィズス菌や乳酸菌などが有名です。

慢性便秘の患者さんに対し、腹部症状を悪化させることがなく、排便回数を有意に増加させることが報告されています。

 

③膨張性下剤

カルボキシメチルセルロースやポリカルボフィルカルシウム(コロネル、ポリフル)は、消化管内で消化吸収されず、水によって容量を膨大させ、便形状と便量の改善により、排便を助けるとされています。

便秘型過敏性腸症候群の治療にも使用されます。

 

④浸透性下剤

塩類下剤(酸化マグネシウムなど)や糖類下剤(ラクツロースなど)の薬があります。

腸内に水分泌を引き起こすことで便回数を増加させます。長期投与による副作用等は少ないとされています。

塩類下剤は、腎機能障害を有する高齢者では、高マグネシウム血症(悪心、徐脈、筋力低下、傾眠など)となることがあり、慎重投与が望まれます。

 

米国消化器病学会が定める便秘診療ガイドラインでは、生活習慣指導と浸透性下剤の投与が治療の基本とされています。

まずは、本日概説させていただいた方法から便秘の治療を開始すべきと考えられます。

 

次回、便秘の治療の続きを概説したいと思います。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。