福岡天神内視鏡クリニックブログ

好酸球性食道炎とは?

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

最近、日に日に寒さが増しています。

インフルエンザの流行拡大もあり、体調管理にはご留意ください。

 

さて、皆さんは「好酸球性食道炎」という疾患を聞いたことがありますか。

あまりなじみのない疾患かもしれませんが、

最近、検査で診断する機会が急増しています。

 

 

好酸球性食道炎とは

食べものを含む物質が抗原となってアレルギー反応がおこり、食道に好酸性の白血球が浸潤して慢性炎症を引き起こし、これが原因となって食道の正常な機能が障害される疾患です。

 

【疫学】

これまで日本では稀な病気と考えられていましたが、最近、検診の内視鏡検査で見つかる頻度が増えており、内視鏡検査300例あたりに1例程度見つかると報告されています。

2016年の報告では日本における有病率は全人口あたり0.4%程度と推定されています。

欧米ではこの20年間ほどで有病率が19.5倍にまで増えているという報告もあります。

日本における有病率は今後も増えると思いますし、私は実際に急増を実感しています。

 

【原因】

詳しい原因は不明ですが、何らかの物質に対するアレルギー反応の結果、好酸球が消化管の粘膜に多数浸潤し慢性炎症を引き起こすと考えられています。

 

【症状】

好酸球性食道炎では、胸痛、胸やけ、飲み込みにくさ、食物のつかえなどが主な症状です。

私の経験上は、飲み込みにくさや食物のつかえを訴える方が多いように思います。

喘息アレルギー性皮膚炎などのアレルギー疾患を合併する頻度が高いことがわかっています。

 

【合併症】

好酸球性食道炎では、長い間罹患すると食道壁が硬くなることによる狭窄が起こり、食べ物の食道の通過障害を起こすことがあります。

 

【診断】

胃カメラで、食道粘膜に「縦方向の溝」や「横方向の溝」ができるのが特徴的な所見です。

微細な所見の時も多く、胃カメラで見過ごされることもあります。

所見の存在する部位から生検(組織診断)をすると、好酸球という血球が組織に多く認められます。生検組織で、より診断が確実なものになります。

 

【治療】

胃酸の分泌を減らし、症状を軽減できる薬のプロトンポンプ阻害薬(PPI)が投与されます。

内服によって約7割は改善します。

改善がない場合はステロイド薬の局所投与や食事療法が行われます。

食事療法は、小麦、乳製品、魚介類、ピーナッツ/ナッツ類、卵、大豆を排除したものが推奨されます。

 

まとめ

胸のつかえ感や、食べものの飲み込みにくさがある方は、「好酸球性食道炎」かもしれません。

内視鏡診断に精通したクリニックで相談しましょう。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。