福岡天神内視鏡クリニックブログ

線虫検査(N-NOSE)についての見解です。

おはようございます。医師の秋山です。

 

皆さん、線虫検査(N-NOSE)についてご存知でしょうか?

ちょっと前に話題になりましたので、聞いたことがあるという方も多いのではないかと思います。

 

線虫検査とは、1滴の尿で体内のがんを検出できるという検査です。

犬の1.5倍の嗅覚を持つ線虫が微細ながん細胞の「匂い」に反応することを利用します。なんとステージⅠの早期がんにも反応するとのことです。

保険適応外の検査で、税込14,800円となっています(当院では線虫検査は行っておりません)。

 

具体的には以下の15種類のがんに反応します。

食道がん、肺がん、乳がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、胆嚢がん、胆管がん、大腸がん、腎臓がん、膀胱癌、卵巣がん、子宮がん、前立腺がん

ただし、線虫検査でリスク判定が陽性になったとしても、どのがんが陽性になったのかが分かりません。

 

この線虫検査の精度ですが

感度:がん患者をがんと診断する確率が86.3%

特異度:がん患者じゃない方とがんではないと診断する確率が90.8%

となっており、高精度な検査だと言えるのではないでしょうか。

 

ところが最近、

「線虫検査の精度が本当のところどのくらいなのかを検証しよう!」と立ち上がったのが日本核医学会です。

約200施設を対象に、線虫検査をきっかけにPET検診に訪れた人数、がんと診断された人数、がんの種類、進行度をアンケートで10月20日までに答えてもらい、それを2023年内にまとめるということでした。

 

そもそもなぜそのような動きになってきたのかというと、2023年6月に開かれた日本がん検診・診断学会総会にて

「線虫検査で、がんではないのにがんのリスクが高いと判定される「偽陽性」や、がんなのにがんのリスクが低いと判定される「偽陰性」が多数出ている」

という報告があったからです。

 

この動きに対して、線虫検査を開発したHIROTSUバイオサイエンスは反論するコメントを出しています。

 

線虫検査は良い面もありますが、個人的には感度、特異度の値が本当なのか疑問に思っていましたので、日本核医学会の検証結果については興味があります。

 

線虫検査は保険診療外の検査です。自費で線虫検査を受けること、そして線虫検査でがんのリスクが高いと出た場合に、更なる精密検査を自費で受けることについては全く問題ないです。全ては自己責任です。

しかしながら、線虫検査の結果により、もし患者さんの不安を煽るようなことになっているのであれば、それは医学的に許されるものではないと思っています。

日本核医学会の検証結果を待ちましょう。

以上、線虫検査についての見解でした。

湯布院の鍵屋にある「かぎやのおはぎ」です。

鍵屋は、名宿「亀の井別荘」の敷地内にあるお土産屋さんで、中でもこのおはぎは人気です。午前中には売り切れますので早めに買うのが良いです。甘すぎなくて美味しいですよ。

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。