福岡天神内視鏡クリニックブログ

大腸憩室とは

みなさんこんにちは。
萱嶋です。

 

日に日に寒さが増してきました。

温暖化とはいえ、冬が近づいています。

体調管理にはご留意ください。

 

前回は、メッケル憩室についてお話ししました。

今回は、大腸憩室についてお話しいたします。

 

先週からの繰り返しになりますが、憩室とは、消化管壁の一部が外側に突出し、嚢状(のうじょう・袋状の形のこと)になった状態をいいます。

憩室は食道、胃、十二指腸、小腸、大腸のいずれにもできますが、大腸にできることが一番多い病気です。

 

 

大腸憩室

大腸壁の固有筋層が欠損した部位から粘膜および粘膜下層が嚢状に漿膜側に突出した状態で、内視鏡で見ると凹みとして観察されます。

憩室の原因として食物繊維の摂取低下や便秘等による内圧亢進が関与しているとされています。

高齢になるほど増加する傾向があり、近年、高齢者ではその頻度は20%に達すると言われています。

欧米ではS状結腸に憩室が多く認められるのに対し、日本では従来右側結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸)の頻度が高く70%を占めていました。

しかし、近年S状結腸憩室が増加してきており、右側型50-60%、左側型15%、両側に認めるものが20-35%程度とされています。

大腸憩室は多発することが多く、炎症、出血、穴が開く、狭くなるなどの原因となります。

 

大腸憩室が存在するだけでは特に問題ありませんが、出血や炎症を起こした場合が問題となります。

 

大腸憩室出血

大腸憩室保有者の累積出血率0.2%/年、2%/5年、10%/10 年といわれています。

年々増加しており、低用量アスピリンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)服用者の増加が その要因と推定されています。

また、再出血率1 年後で 20~35%2 年後で 33~42% とされています。

一度憩室出血を起こした方は、再出血を起こしやすい傾向にあります。

診断は、内視鏡検査で行います。しばしば出血源を同定できないことがあります。クリップ法などにより治療しますが、自然止血を得られることも多いです。

 

大腸憩室炎

大腸憩室炎は大腸憩室出血より 3 倍程度多いとされています。

60 歳未満で右側結腸憩室炎が多く、より高齢では左側結腸憩室炎が多いとされています。左側結腸憩室炎の方が合併症を伴いやすく重症化しやすいです。

憩室炎には、喫煙が大腸憩室炎の合併症の増悪に関与している可能性が高く、肥満も関連が強いと考えられています。

診断はCT検査を用い行うことが多いです。

治療は抗生剤投与が基本です。重症化した場合や穿孔(腸が破れる)した場合は手術となります。

 

簡単に大腸憩室について解説しました。

参考になれば幸いです。

癌にならない腸活 実践メルマガ講座 乳酸菌バナー 内視鏡チャンネルバナー

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。