福岡天神内視鏡クリニックブログ

食道カンジダ症

みなさんこんにちは。

萱嶋です。

 

もうすぐ4月です。

桜の季節です。心が華やぎます。

歳を重ねることに桜の美しさが尊く、心を打たれるようになってきました。

 

 

さて、みなさんは「カンジダ食道炎」を知っていますか。

 

【概念】

食道カンジダ症は近年増加傾向にあり、重要な疾患です。

カビの一種であるカンジダ菌が食道で異常に繁殖してしまった状態のことです。

カンジダは、口腔・食道・腸管の常在菌であり、Candida albicansが90%以上とされています.

 

【原因】

普段は存在していても害を及ぼさない真菌(カビ)ですが、免疫が低下したり体が弱っていたりすると、異常に増殖してさまざまな感染症を引き起こすことがあります。

 

【症状】

食道カンジダ症軽症例では無症状で、基礎疾患はないことが多いです。しかし、中等症以上では嚥下障害、嚥下痛、胸焼けなどの症状が出現し、免疫が低下する基礎疾患が存在している可能性が高いです。

このためHIV(human immunodeficiency virus)感染、ステロイド薬や免疫抑制薬の使用、悪性疾患、糖尿病などの存在を考えなければなりません。

HIV感染者は漸増していますが、新薬の影響でカンジダ症への罹患はむしろ減少しています。

 

【診断】

・上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

食道に斑状またはびまん性の白苔を認めます。

生検病理組織診断にて、確定されます。

 

【治療】

特に自覚症状もなく軽症な場合は、経過観察をします。

胸痛や飲み込みにくさなどの自覚症状がある、検査結果から中等症以上と判断された場合は、治療を行います。

治療は抗真菌薬の全身投与が必要で、国内外ともにフルコナゾールまたはイトラコナゾール内服を2-3週間程度継続することが多いです。

 

口腔内カンジダ症の治療薬であるファンギゾンシロップ(アムホテリシンB)では、

食道カンジダ症は改善しません。

フルコナゾールやイトラコナゾール内服が必須です。

 

「カンジダ食道炎」について概説しました。

みなさんの知識になれば幸いです。

 

それでは、皆さんお元気で。

定期的な検査を心がけ、くれぐれもご自愛ください。

私はこれからも信念を貫き診療して参ります。

 

癌にならない腸活 実践メルマガ講座 乳酸菌バナー 内視鏡チャンネルバナー

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。