おはようございます。
今回は大腸がん検診の便潜血検査がどんな検査なのかについて説明したいと思います。
便潜血検査は、便に血液が混ざっているかどうかを調べる検査です。
便潜血検査は便を検査専用のスティックで採取して、便の中に血液が混ざっているかどうかを調べる検査です。1日分の便だけ調べる検査を1日法、2日分の便を調べる検査を2日法といいます。
仮に大腸がんがあり、そこから出血があったとしても毎回便の血液が付着するわけではないため、過去の研究では1日法の便潜血検査で大腸がんを指摘できる可能性は56%、2日法で大腸がんを指摘できる可能性は80%以上と言われています。
検査精度が高いため、1日に1回ずつ2日に分けて採取する「便潜血2日法」が主流です。便潜血2日法は、大腸がんの死亡率減少に効果があると厚生労働省が認めている検診です。
検査当日を含む3日以内の便を採取して調べます。自宅で排便時に採便するだけで簡単に調べる事ができる検査なので、身体的な負担のない検査です。
進行大腸がんは表面が脆くなっているため、便がこすれると出血が起こりやすくなります。
便潜血検査は、特殊な抗体を用いた便表面の少量の血液も検出することが可能な検査のため、大腸がんのリスク診断に有効と考えられています。
しかし、便潜血検査はあくまでも大腸がんのスクリーニング検査でしかなく、検査異常があっても大腸がん以外の出血を来す病気の可能性もあれば、出血を来さない大腸がんも存在するため、検査異常が無いからといって大腸がんが無いという保証はありません。
便潜血検査だけで大腸がんの有無を正確に判断することは出来ないことを含めて、この検査のメリットとデメリットをしっかりと把握しておくことが大切です。
【便潜血検査のメリット】
・病院に行かなくても気軽に自宅で検査ができる
・便を採取するだけで検査可能。身体的な負担が無い
・大腸がんを調べる検査の中では検査費用が安い
【デメリット】
・検査異常の原因が大腸がんによるものかどうかまでは診断できない
→痔などの出血を来たす他の病気でも検査異常が出る:偽陽性)
・検査異常がなくても大腸がんはないと断言できない
→大腸がんがあっても早期大腸がんや出血していない進行大腸がんは検査異常が出ない:偽陰性)
便潜血検査の検査結果が1回でも陽性の場合は、大腸がんを含めた大腸に何か出血を起こす異常がある可能性があります。
検査異常があった場合は、原因を調べるために必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。
内視鏡検査を受けなければ、大腸がんがあるかどうかはわかりません。大腸がんは早期に発見すれば治癒が目指せるがんの一つです。特に、早期大腸がんの場合は、検査時にそのまま切除し治癒できることもあります。
また、進行大腸がんの約30%は、出血を来さないと言われています。これらの大腸がんは便潜血検査では陰性となるため、見落とされます。
たとえ便潜血検査が陰性であっても、排便時に血便がある場合や便通異常、腹部症状などのお腹の異常がある場合は必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。
ご家族に大腸がんの方がいた場合も注意が必要です。
是非一度お気軽にクリニックにご相談下さい。