明けましておめでとうございます。医師の相馬です。
今年もよろしくお願いします。
毎年秋からこの時期にかけて、ときどき親と共に来院する患者さんがいます。
話を聞くと、ほぼ高3、中3の「受験生」です。
おなかの調子が悪そうな息子や娘を見て、心配になった両親が連れてくるのです。
お話を聞きながら必要に応じて胃カメラや採血など検査をしますが(しない場合も多いですが)、がんや潰瘍などの異常がないことがほとんどです。
そんなときは、「悪い病気はないこと」を話し、「ストレスや疲れが、お腹の症状を引き起こしていることが少なくない」ことを説明します。
整腸剤を最後の受験日まで飲んで腸を強くしておくこと、頓服としての「お腹の」痛み止め(一般の痛み止めではありません)をポケットに忍ばせてお守り代わりにすること、など。
対策をお話しすると、安心した表情で帰っていく人もいれば、それでもまだどうしても不安から抜け出せないでいる人もいます。
顔に不安がにじみ出ている人には、「受験に負けてしまう・飲まれてしまう可能性が高い」と感じてしまうので、私は“不合格者体験記”を話すことがあります。
私は大学を3回受験して、2回失敗しました。
始めの2回の試験は、センター試験で頑張りましたが、不合格でした。
3回目のセンター試験は、これまでで最低の点数を取りましたが、幸運にも合格しました。
始めの2回で失敗した一番の要因は、「不安」だったと思います。
最後まで不安を拭い去ることができず、最後まで頑張り切れませんでした。
そんな後悔があったので、3回目の試験はひどいセンター試験の点数でしたが、最後まで諦めずに根拠のない合格を信じて勉強しました。
予備校には多くの合格者体験記がありますが、不合格者体験記はありません。
私が通っていた予備校の先生が、「受験は、心技体の中の2つがそろえば何とかクリアできる」と言っていました。
技については、みなそれなりに1年間勉強をしてきているので大差は付かないと思います。勝負を分けるのが残りの「心と体」だとすれば、不安を勇気に変えて、笑顔で免疫力を高めてカゼやインフルエンザや胃腸炎などに罹らなければ、クリアできるのではないかと思っています。
失敗した人の話はわざわざ聞かないと思うので、みな「へえ」とキョトンとした顔をしますが、診察室を出ていくときに「頑張ってみます」と目に力が出ていた時は、「話してよかったかな」と感じます。
たとえすぐに不安が拭い去れなかったとしても、「腸内環境を整えて腸を強くすると胃腸炎やカゼを予防できるだけでなく、不安も軽減されてくる」ことがあることも報告されています。
「しっかり食べて、しっかり眠る。」
諦めの悪い方が最後にいいことがあると思いますので、自分を信じてあと少し、あともうひと踏ん張りしてみてください。
ガンバレ、受験生!