おはようございます。医師の秋山です。
今回は、「私がいつも尊敬している先生」のことを書きたいと思います。
先生といっても、医師ではありません。
行きつけの美容師の先生です。
その先生のお話がいつも面白くて、私は大好きなのです。
髪を切ってもらうためだけでなく、楽しいお話が聞きたくて、癒されたくて先生の美容室に通っていました。
話が面白いだけでなく、先生のお客様へのおもてなしやサービス、目配り・気配りにはいつも驚かされます。
「私は医療にも応用して、このおもてなしやサービス精神を取り入れなければいけない」
と美容室に行くたびに危機感を持ちました。
時折、健康に関する相談を受けることもあります。
先日は、「最近あまりよく眠れない」と相談を受けました。
先生からの相談とあっては、何とかしなければならない。
私は「年齢のせいかな・・・」と思いつつも、
スマホを夜遅く使っていないかどうかを尋ね、腹式呼吸や深呼吸で副交感神経を優位にすることをアドバイスしてみました。
そして交感神経を鎮めながら副交感神経を高めることで、熟眠感が得られる漢方を2種類ほどおススメしました。
いずれもドラッグストアにあるもので、手に入れやすいと考えたからです。
また漢方で身体の養生をすることが、不眠の改善につながるのではないかとも思いました。
ところが何回かメールをやり取りした後、先生が
「僕は治療もクスリも使わなくて、眠れるようになりました
何時も寝る前に頭の中で絵を描いていたことに、今気がつきました」
といつの間にか先生が解決策を思いついて、これにて一件落着となりました。
私の解決策って一体・・・と、天才の思考回路についていけず半ば呆然と立ち尽くしました(ちびまる子ちゃん状態です)。
でも私はこれで良かったのだ、と思いました。
私達医師は、症状のある患者さんを診るとその原因を探り、原因を解決するための方法を考えようとします。
もちろん、医学はそのような学問であることも知っています。
ただ、その解決法を最後は何かとクスリに頼ってしまう傾向にあるのではないか。
症状があれば常にその対策を、つい1対1で考えてしまっていないか。
がんや脳心血管系疾患のような病気は別として、たいていの病気は自分が持っている免疫力で治すことができます。
それを一般に「自然治癒力」といいます。
人間以外の動物は、自然治癒力で病気を治しています。
「自然治癒力」のパワーは本来とてつもなく大きいものですが、体力をなくしていたり精神的に落ち込んでいたりすると、とたんに弱まってしまいます。
私達医師の仕事とは、患者さん本人の「自然治癒力」を高めるアドバイスをしたり、きっかけつくりをするものであり、躍起となってクスリの力で病気を抑え込むものではないのではなかろうか。
「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね・・・(ブラックジャック 本間丈太郎)」
とても労力がいる問診になるけれども、「患者さんの背景にまで立ち入って、その人にふさわしい解決策を導くことが大切である」と思います。
また一つ、先生から大切なことを教わった気がします。ありがとうございました。
私は「患者さんが本来持っている自然治癒力を、後ろで静かに支える医師になりたい」と思います。