おはようございます。医師の秋山です。
私は小さい頃、母親から「卵は1個まで」と教えられたことがあります。これは私だけではないと思います。ある意味、都市伝説みたいなものですね。
卵には約200~250mgのコレステロールが含まれており、そのほとんどは卵黄内にあります。卵にはS,M,Lとサイズがありますが、卵黄のサイズ自体は変わらないため、コレステロールの量も卵のサイズで変わることはほぼないです。
「卵は1日1個まで」は今は昔の話で、現在は、「卵の摂取量が血中コレステロール値に反映されるものではない」というのが一般的となっています。
その理由としてですが、血中コレステロールは、体内で合成されるコレステロールが8割、食事性コレステロールが2割を占めると言われています。また、コレステロールの摂取量が増えると、体内でのコレステロール合成は減少し、コレステロールの摂取量が減ると、コレステロール合成は増加するという、フィードバック機構が働いているのです。
ただこれらがうまく機能しているのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症などのない、健康な方に限られると思ったほうがいいと思います。実際、2020年に発表予定である「食事摂取基準」では、上記の基礎疾患を持つような動脈硬化ハイリスク群について、コレステロール摂取量は1日200mg未満と記載される予定とのことです。つまり、基礎疾患を持った方は、卵1日1個も食べられないことになります。
結論を出すのは難しいですが、現在の見解としては、健康な方はあまり神経質ならずに卵を摂取してもいいということですね。ただ、基礎疾患を持っている方は卵黄の量を減らして食べるなど、工夫が必要だと思います。