医師の秋山です。
前回は、機能性ディスペプシアの方で胃の知覚過敏は「見える」ことを紹介しました。
今回は「胃の動きの悪さ」が「見える」ことを紹介します。
胃は胃カメラ検査中も動いていますが、胃の動きを数値化するのは困難です。
しかし、胃カメラ検査中に「胃の動きが悪いこと」を間接的に示す証拠を認めることがままあります。
それは、胃内に「胆汁」を認めることです。
胆汁は肝臓で作られ、胆嚢で濃縮されて十二指腸に分泌される消化液です。
胃の動きが正常であれならば、胆汁は十二指腸からその先の小腸へと流れていきます。
しかし、胃腸の動きが悪い人は、胃内に胆汁が逆流しやすくなります。
さらに胃の動きが悪い方は、胆汁が胃壁に張り付いて取れなくなっていることもあります。
このことを説明すると患者さんは驚かれますが、「確かに胃の消化が悪いと思っていた」と納得される方が多くいます。
胃カメラを受けて、先生から「悪いものはないですよ」とは必ず言われると思います。
機能性ディスペプシアの患者さんは、さらに「なぜ胃もたれや胃痛が起きているのか」の原因が知りたいのだと思います。
「胃の知覚過敏」と「胃の動きの悪さ」が機能性ディスペプシアの原因であるので、それを出来るだけ分かりやすく説明するには、見えないものを「見える化」することが必要ではないかと思っています。
説明が腑に落ちて理解できると、機能性ディスペプシアは症状改善率が高くなります。
「胃の中に胆汁は残っていますか?」と先生に聞いてみてもいいかもしれませんね。