こんにちは、医師の秋山です。
もう花粉症の話ですか?と言われそうですが、すでに九州地方から飛散しています。
花粉症といえばスギ・ヒノキが有名ですが、1月の中旬からハンノキの花粉が飛んでいます。
ポイントは、ハンノキ・スギ・ヒノキと花粉が微妙にズレながら飛散するために、症状が長引いてしまうことです。
花粉症のツラさは、かかった人にしか分からないものです(私はかかったことがないので・・・)。
今は眠くならないアレルギー薬も開発されて、パフォーマンスをそれほど落とさずに生活することも可能になってきました。
でも如何せん、良い薬は新しいものほどお金がかかり(ジェネリックがないので)飲み続ける費用もバカになりません。
長く飲むのも面倒だし、何より病院に行くのが面倒くさい。
ドラッグストアの薬は効果が今一つだし、値段が高い。
それなら、花粉症にかからないことが一番楽です。
でも、「昔に比べて花粉症の症状が強くなった」
「昔は花粉症は他人事だったのに、最近毎年かかるようになった」
人が増えてきました。
それは気のせいではなく、理由が2つあります。
① スギ・ヒノキの花粉飛散量が増えている
日本は戦後、復興のために木材が必要になります。
国をあげてスギやヒノキの植林政策が行われるようになりました。
高度経済成長とともに、マイホームを買うのが国民の夢にもなりました。
なぜスギとヒノキといった針葉樹を植えたのかというと、広葉樹よりも4倍成長が早いためです。
針葉樹の成長は、高度経済成長の象徴だったとも言えます。
そのスギやヒノキは、樹齢30年前後から大量の花粉を飛散し始めるのです。
それが1980年代から今、というわけです。
では、木を切ってしまえばいいのでは?と思うでしょうが、伐採にはお金がかかります。
現在材木はほぼ輸入でまかなっており、当時植えられた日本の樹木は放置されることになりました。
② アレルギー体質になってきている
②-1 これは経済成長により衛生環境が格段に良くなったことと関係しています。
最近はレトルト食品などの「無菌食品」が多く出回っています。
小さいころからちょっとしたカゼでの抗生剤の投与により、身体に必要な最近まで死んでしまっていることが多くなりました。
そして、子供の頃に砂場や土のある場所で遊ばなくなりました。
寄生虫に接する機会が減ってしまったのです。
小さいころからある程度土壌の寄生虫に触れていた方が、アレルギー体質になりにくいと言われています(賛否両論あります)。
「汚い」ものを徹底して避けてきたことが、結果的にアレルギー体質を作ってしまった可能性があります。
②-2 家屋の気密性が高くなっていることとも関係しています。
昔の家屋は木造で、すきま風がはいってくるような家に住んでいました。
今はマンションに住んだり、アルミサッシで完全に外気が遮断できます。
夏はクーラー、冬は暖房で過ごしやすくなってきました。
これは家ダニ(ハウスダスト)にとっても快適な環境になっているのです。
「寄生虫と触れ合うのは嫌だけど、目に見えにくい家ダニには長年さらされている」
ことがアレルギー体質を作っている原因になっています。
このように原因をみてくると、「花粉症にかかる原因は、自分たちで作りだしてきたもの」とも言えます。
とはいえ過去に拘泥しても仕方がないので、花粉症にかからない対策をしていきましょう。
対策は前回の記事とほとんど変わりません。
① 整腸剤の内服、 ② 高濃度ビタミンDの摂取、 ③高濃度ビタミンCの点滴
の継続です。
アレルギー疾患でも、対策は同じです。
身体の中に入ってきた敵ではない物質に過剰に反応してしまうのが「アレルギー」です。
外敵に立ち向かうのも免疫力ですが、アレルギーのような過剰な免疫を整えてあげることも、免疫力の大事な働きです。
インフルエンザや嘔吐下痢症と同じく、「そういえば今年は花粉症にかからなかったな」というものです。
毎年花粉症にかかっている方は、ぜひお試しください。
1つだけ花粉症固有の対策を書きます。
「べにふうき茶」を茶葉で(粉末にしないで)飲むことです。
べにふうき茶は、もともと紅茶を作るために開発された茶葉です(やっぱりインフルエンザと関係ありそうです)。
べにふうき茶には、他のお茶の成分にはない「メチル化カテキン」という抗アレルギー成分が豊富に含まれています。
メチル化カテキンが、体内への花粉の受容(IgE受容体といいます)を抑え、ヒスタミンの遊離を抑えてくれます。
薬に頼ることなく今の時期から春を快適に過ごすために、整腸剤やビタミンDの内服、お茶を飲むあたりから実践してみるのはどうでしょうか。