おはようございます。医師の秋山です。
今回は趣向を変えて、「胆石」について書きたいと思います。
私は学生時代に「胆石ができやすい人の4Fや5F」というのを習いました。
建物の何階のF(floor)ではありません。
● female (女性)
● fatty(太っている)
● forty or fifty(40代から50代)
● fair (白人系)
● fecund(多産)
と習いました。
ギクッ、としなくても大丈夫です。
どうも診療をしていると、胆石持ちの人の特徴が教科書と違うのではないかと思うようになりました。
私は若いころ、胆石発作で夜中にうずくまりながら病院を受診する患者さんを多く診てきました。
胆石発作は、急性腹症(耐えがたい痛み:虫垂炎や尿管結石など)の1つです。
エコーで見てみると、胆石のために胆嚢(胆汁が蓄えられる袋です)がパンパンに腫れ上がっています。
救急処置として、胆嚢に針を刺して中の感染を起こした胆汁を抜き取ります。
すると胆石はなくなりませんが、痛みは瞬時に消えていきます。
その後は入院して、「胆嚢摘出術」という外科手術を受けるために外科の先生に託します。
では胆石ができる原因は何でしょうか?
正解は、「食事と食事の感覚が長い場合にできることがある」です。
もし胆石を持っている方がいたら、思い当たる節がないでしょうか?
食事を摂らないと、胆嚢が動かない(胆汁は、食物が入ってきたときに脂肪を分解する働きをしています)のです。
動かないで澱んでしまうと、そこに胆石や胆嚢炎という炎症が発生しやすくなります。
尿道が短くトイレを我慢してしまう(尿が澱みやすい)女性の方が、膀胱炎になりやすいのと同じ原理です。
胆石を持っているけど、痛んだことは一度もないよ、という方も多いでしょう。
胆石を持っている方で、将来耐え難い痛み(発作)を生じる人は20%と言われています。
では痛みが出なければ、手術を受けなくてもいいのではないか、という疑問が出てきます。
たしかに仕事や家事を休んで入院して、全身麻酔をしてまで胆嚢摘出手術を受けなくてもよいかもしれません。
でも慢性的に胆石があると、常に胆嚢壁と石が擦れ合い、胆嚢壁が徐々に分厚くなっていき、胆のうがんができる可能性があります。
胆のうがんはもし発症すると、かなり予後(5年生存率など)が悪いがんです。
私はもし自分に胆石があることが分かったら、手術して胆嚢を切除してもらいたいと考えています。
まとめ
● 昼間に食事を摂る時間の取れない方、朝ご飯を食べない方、など食事の間隔が長くあく人に胆石ができやすい。
● 胆石があっても強烈な痛みを生じることは20%だが、胆のうがん発生のリスクが上昇する。
私が「絶食中に胆嚢内に砂ができた」と書いてあったけどとご指摘の方、スルドイです。
私にできていたのは「胆砂」であったので、食事を開始したら1週間ほどで胆管を流れて無事に十二指腸に排出されていました。
仕事で昼食が取れない方、朝ご飯を食べない方は要注意ですので、軽食だけでもつまむ習慣をつけて、胆石発生を予防しましょう。
バナナや軽食などをササっとつまむだけでも胆嚢は動き出し、胆石生成を抑えることができると思います。