福岡天神内視鏡クリニックブログ

自宅でできる便秘外来 ~腸内環境・腸のカタチ・自律神経を整えていく方法

おはようございます。医師の秋山です。

今回は、「3つの便秘改善方法」を書きたいと思います。

以下に述べている便秘改善方法は、今から始めることができる気軽で簡単なものばかりです。

全てができなくてもよいので、1つずつ毎日継続してみてください。

少しずつでも継続していくことで、必ず腸が良い方向へと変化していきます。

一緒に気軽に始めていきましょう。

 

0.まず初めに、便秘改善の「具体的な目標」を決めましょう。

目標を決めるために「便秘が自分にとって不都合な理由」を改めて考えてみましょう。

そうすると、おのずと便秘改善の目標が決まってきます。

ところで、「3日に1回しか便が出ていなくとも、食事はしっかり摂れているし、お腹は張らない」という方は便秘なのでしょうか?

この方は、特に生活に支障がでていませんし「便秘」という意識もしていないので、便秘とは言いません。

逆に「毎日便が出ているけれど、何となくスッキリ便が出ない。お腹が張りやすい」という方はどうでしょうか?

この方は毎日便が出ているにも関わらず、残便感と腹部膨満感という「不快な症状」が出ていますので「便秘」と言えますし、改善していった方が良いでしょう。

つまり「便秘」とは客観的な定義があるのではなく、あくまで主観的なものだということです。

よって「排便がスムーズで、お腹が張ることが少なくなり、便秘であることを意識しない状態」に持って行くことができればOKです。

排便の頻度としては、毎日出ていればとても良いですし、2~3日に1回しか出なくともさほど気にしなくても良いと思います。

 

さて、便秘改善の具体的な方法は、大きく分けて3つあります。

1つ目は、長期投資。2つ目は短期投資です。3つ目は、その短期長期両方への投資です。

今から「3つの整え」を書いていきますので、よかったら最後までお付き合いください。

 

1.腸内環境を整えていく

これは「整腸剤を1日1回程度で継続して飲んでいく」ことです。

飲み忘れてしまう日があってもかまいません。

整腸剤は、一般的な便秘薬のように常習性のある薬ではありませんので、あまり身構えて飲む必要はありません。

原則として、副作用はありません(ごくまれに整腸剤をコーティングしているものにアレルギーが起こる可能性があります)。

いつ飲んでも問題ないですし、近くに水がなければ嚙み砕いても大丈夫です。

「ヤクルトを飲んでいるような気持ち」で、毎朝や就寝前の習慣にしていくと良いでしょう。

ビオフェルミンSやザ・ガード、わかもとやエビオスといった整腸剤がドラッグストアに並んでいますので、まずは手に取ってみましょう。

「どの整腸剤を選んだらよいのか分からない」

という方には、私は強ミヤリサン錠をお勧めしています。

強ミヤリサン錠に含まれているのは善玉菌が1種類だけという至ってシンプルな整腸剤です。

そしてその1種類も、”酪酸菌”という一般的にあまり知られていないマイナーな善玉菌です。

ただ調剤薬局に行くと、なぜかこの強ミヤリサン錠は大抵置いてあります。

その理由は、酪酸菌の効果が他の整腸剤よりもシンプルで、かつ日本人に有効性が高いからであると考えています。

「一生懸命にさまざまな種類のヨーグルトや乳酸菌サプリメントを試してきたが、結局便秘が改善しない」

という方はいませんでしょうか。

乳酸菌やビフィズス菌を摂取することは、腸内環境を整える上で大変良いことです。

ただ知っていていただきたいことは、

「乳酸菌やビフィズス菌が日本人の腸に必ずしも合っていないから、便秘が解消しない」可能性があるということです。

酪酸菌はぬか漬けに含まれている善玉菌ですので、日本人の腸に合いやすく赤ちゃんでも飲むことができます

食事や運動については、適宜無理のない程度にそのまま続けていく、もしくは特別なことをしなくとも大丈夫です。

腸内環境が変わってくるのは、早くて3か月くらいでしょうか。

だいたい半年くらいはかかりますが、確実に体内に変化が現れてきます

私の便秘外来は、センナやマグネシウムといった便秘薬を基本的に始めから使用しません。

整腸剤を続けていくだけで、気が付くといつの間にか便秘が改善していることが多いと思います。

腸内フローラが改善されていき、便秘をしなくなるることで他にも、

「体調が良くなる」

「カゼを引かなくなる」

「冬にインフルエンザにかからなくなる」

「春の花粉症にかからなくなる、症状が軽くなる」

「イライラしなくなる、気落ちすることが少なくなる」

「肌がキレイになり、アンチエイジング効果が得られる」

など長く続ければ続けるほど、たくさんの恩恵を享受することができます。

大切なのは「少量で継続」することです。

 

ここまで読んでいただいて、

「便秘解消のために、そんなに長く待っていられない」

と感じた方も多いはずです。

実際、劇的に便秘が改善するというよりもいつの間にか便通が良くなっている事が多いために、効果をてきめんに実感することは少ないかもしれません。

 

そこで2つ目の短期投資をお勧めします。

2.腸のカタチを整えていく

こちらは写真にある4つのエクササイズを行います。

 

便秘の改善方法 虎の巻!

 

30秒ずつ、就寝前に「上向きに寝て」行ってみてください。

1.「の」の字マッサージ(大きく、強めに)

2.膝を抱えるストレッチ(「ガス抜きのヨガ」と言われています)

3.鼠径部(お股)をさする(下から上にこすり上げます)

4.ツボ(膝から4本指下の凹みです)

 

2-1.「の」の字マッサージ

大腸が右下始まり(盲腸部といいます)から「の」の字に時計周り(反対にすると便秘になりますので注意)でお尻につながっていますので、その大腸の形をイメージしながら大きく円を描くようにマッサージします。

便秘で「の」の字マッサージをされている方はたくさんいらっしゃるのですが、方法を少し改善するとよいです。それは、

「大きく強く」マッサージをすることです。

下は股の下から上はみぞおちの下まで、横はわき腹のまで大きくマッサージします。

強めにマッサージすることで、お腹が乾布摩擦効果で温まり、ガスや便の溜まりによる腹痛や腹満感が和らぎます。

お腹の症状は、基本的に「温めること」で緩和されます。これは、とても大切な知識です。

就寝前にやってみましょう。リラックス効果が得られ、熟睡できます。そして

「副交感神経」が活発になり、寝ている間に腸が最適な状態で蠕動運動してくれますので、翌朝に驚くほど便が出るようになることがあります。

ここまで実践していただけましたら、便秘はおよそ半分くらいの方で改善しているでしょう。

 

2-2. 膝を抱えるストレッチ(ガス抜きのヨガ)

膝を抱えて、お腹に近づけるように10秒間ストレッチします。

後頭部を少し浮かせた状態がベストですが、無理のない程度で行えば十分です。

今度は、反対の膝で行います。

最後に両ひざを抱えます。

3つ合わせて30秒です。

背中や腰が伸びてくるのが実感できると思います。腰痛予防・改善にも効果的です。

これを行うと、インナーマッスルの一つである「腸腰筋」がストレッチされ、腹部全体の血流改善が望めます。

お腹の血流が良くなると、腸の働きが活発になり、便秘改善につながっていきます。

朝起きた時に、驚くくらいお腹の張りが取れていることでしょう。

 

2-3. 鼠径部をさする

鼠径部とは股のことです。Vの字になっている股間をV字に沿って下から上へ強めにこすり上げます

この体操のメリットは、「大腸のねじれの整復」です。

便秘の方の大腸は、大抵長くなっています。

「便秘だから腸が長いのか、腸が長いから便秘なのか」

”卵が先か、鶏が先か” のような話になってしまいますが、とにかく腸が長いのです。

そして靱帯で固定されていないS状結腸(お尻から入って20~40㎝くらいまでの大腸)がいくらでも伸びて、最終的にはねじれます

特に痩せている華奢な女性は、長くなった大腸が蛇のようにとぐろを巻いて骨盤内にはまり込んでいます

これだけ大腸が長くてねじれてしまうと、便が出ないのもうなずけます。

物理的に便が出なくなっているのです。

腸の長い方の大腸カメラをしますと、腸が長くねじれているので、挿入が難しくなります。

うまく挿入しないと、一番奥の盲腸部までたどり着けません。

大腸カメラを受ける患者さんも、苦痛を伴ってしまい、

「大腸カメラなんて、2度と受けたくない」

となってしまいます。

私たちのクリニックでは丁寧な内視鏡操作を行いますので、少しずつ少しずつ伸びている腸を畳みながらねじれを解消して挿入していきます。

これが「苦しくない無痛内視鏡検査」の特徴、秘密になります。

大腸カメラ検査後に

「なぜか便秘が治ってしまった」

方がときどきいますが、それはねじれていた大腸が一度整復されるからです。

でも、大腸が長いこと自体は変わりないので、固定されていないS状結腸はまたねじれていきます。

ねじれることがクセになっているのです。

そこでこの鼠径部をさするマッサージを毎日していただくと、S状結腸のねじれがクルリと整復されます

ねじれたら戻す、ねじれたら戻すの繰り返しをすることで、解剖の教科書にかいてあるような、シンプルな大腸の形を維持できます。

実はこのエクササイズだけで、便秘が改善する方もたくさんいます。

 

2-4. ツボ

便通改善に有効ないくつかツボがありますが、ここでは自分の「全身の血流状態を知る」ためにも1つだけお伝えします。

いわゆる「足三里」のツボです。

このツボをしたときに痛かった時は、全身の血流が落ちていて、便秘になっている可能性が高いと思います。

逆にこのツボを刺激していてだんだんと痛くなくなると、便秘が解消してくることがあります。

場所は、両ひざの一番下から4本指下に下がった窪みにあります。

いろいろと触っていると、気持ちよく感じる凹みのある部分が分かりますので探してみましょう。

本当に便秘がひどい方は、少し触っただけでも驚くくらい「痛がります」

それだけ、全身の血流が滞っている証拠です。

この足三里のツボは、江戸時代に東海道五十三次を行脚してよく歩く人たちが、毎日の疲れをいやすために押していたといいます。

脚の疲れをとるだけでなく、全身の血流がよくなりますので、胃腸特に便秘の改善への効果が高いことが実証されています。

このツボ押しは、体調が悪くて便秘になっている方への効果が絶大です。

両膝で30秒行いましょう。この足三里は就寝前でなくても構いません。

少しの隙間時間があれば、いつでもどこでもできます。

他の3つは、外でやっていると、変な人に思われかねませんのでご注意ください。

もう一度おさらいします。

便秘の改善方法 虎の巻!

 

30秒ずつ、就寝前に「上向きに寝て」行ってみてください。

1.「の」の字マッサージ(大きく、強めに)

2.膝を抱えるストレッチ(「ガス抜きのヨガ」と言われています)

3.鼠径部(お股)をさする(下から上にこすり上げます)

4.ツボ(膝から4本指下の凹みです)

 

これらの4つのエクササイズを各30秒ずつ、計2分間で終了します。

終わったら、すぐに寝てしまいましょう。

熟睡できて、体調がよくなります。

特に2-1.のエクササイズをした後にお腹をお腹が温まり、誰かに包み込まれたような安心を感じる人は、次の日から便が自然と出てくること方が多いと思っています。

次の日はいつもよりも早めに目が覚めてスッキリしていたら、早起きついでにコップ一杯の水を飲んだり、軽く家の周りを散歩をしてみたり。

いい習慣ができると、連鎖的にどんどん健康になっていきます。

 

上記の1.腸内環境を整えること、2.腸のカタチを整えることで、多くの方の便秘が改善していきます。

しかしこの2つを真面目に取り組んでいても、どうしても便秘が改善しない方も中にはいます。

 

3.自律神経を整えていく

便秘がどうしても改善してこない方々に共通していることがあります。

それは「便秘に対して、神経質になっている」ことです。

”便秘解消と思って様々な食材やサプリメントを真面目に摂取すればするほど”、そして

”便秘を改善しなければと焦れば焦るほど”、便秘の負のスパイラルにハマってしまっているのです。

この方の便秘の原因は何でしょうか?

私は最終的に便秘になる原因は、「自律神経の乱れ」にあると思っています。

仕事や家事が終わって、ストレス解消のために夜遅くまでスマホをいじり、朝はギリギリに起きて、パンを口にほうばりながら慌てて家を出るような生活を繰り返していないでしょうか。

1日仕事が忙しくて、水分や昼食を摂る余裕もなく毎日を過ごしていないでしょうか。

このような生活を続けていると自律神経が整うどころか乱れ続けてしまいます。

このような方の便秘改善方法は、上記のような「便秘になるための生活習慣」を自ら振り返り気が付く必要があります。

このアドバイスにたどり着くために時間のかかる問診になりますが、便秘改善の最後の砦になりますので、私はつい診察に熱が入ります。

対策としては、「朝いつもより15分早く起きる」ことをアドバイスしています。

朝15分早く起きて、ゆっくりと水(麦茶でも白湯でもよいです)をコップ1杯、ゆっくりと飲みます。

その後目をつぶり、数分間リラックスして目を閉じます。

いま流行しているマインドフルネスのように、「何も考えないように、と難しく考えなくても大丈夫」です。

ぼんやりと自分の時間を数分間過ごすだけです。

そのあと、余った10分間でゆっくりと朝の準備にとりかかりましょう。

自律神経とくに「副交感神経」を1日良い状態を維持するためには、朝の過ごし方が重要です。

朝に副交感神経を消耗させずにいることで、1日をハイパフォーマンスで過ごすことができます。

便秘を解消するために一番大切なことは、

便秘はいつか必ず良くなっていく

と信じることです。

「自分の腸を信じること」

「自分の腸を受容すること。腸は便秘を引き起こす敵なのではなく、自分の健康を守ってくれている大切な臓器であること」

を理解することが、最も重要です。

腸はメンタル的な要素で、いとも簡単に便秘になったり逆に下痢になったりする臓器です

逆に言えば、

自分の脳がゆったりと構えていれば、腸は必ず期待に応えてくれる臓器

でもあります。

 

当院では便秘の方の受診が多く、みな「大腸がんができているのではないか」と心配しています。

大腸カメラをするとポリープがある人もいますが、

便秘になるくらい大きなポリープができている、つまり腸管内をふさいでしまうくらい大きなポリープができていることは、実際にはほとんどありません。

もしポリープが便秘の原因だとしたら、かなり進行した大腸がんだからです。

大腸カメラを受けると、便秘の原因となる器質的疾患を認めない場合がほとんどです。

検査後に便秘の原因となる悪い病気がないことをお話しして、上記の便秘指導を行います。

みな便秘の原因となる大きなポリープができていないことを知り、安心して帰ります。

安心してホッとして帰る。

腸はメンタルの影響をとても受けやすい臓器なので、「安心すること」が便秘改善の大切なポイントの1つなのですが、忙しくて今は大腸カメラを受ける暇がなくても便秘改善は可能です。

(でも大腸がん予防・早期発見のために、40~50代までに必ず1度は大腸カメラを受けておいてください)

1か月後に再来していただくと、かなり多くの方の便秘が改善傾向になっています。

あまり便秘改善の効果がなかった場合は、いろいろと話を聞きながら、エクササイズの方法をもう一度見直したり、まだ書いていない便秘改善方法の続きをお話ししたりします。

数回通院していただいているうちに、ほとんどの方が大した薬も使用しないまま便秘が改善していきます

一度便秘の負のスパイラルが取れると、さらにどんどん良くなっていきます。

便秘が改善してきたら、少しずつ食事の見直しや運動を取り入れていけばよいのです。

便秘が改善するとお肌もキレイになるので、食事や運動も楽しくなります。

努力をするというほどのことをしなくともいつの間にか便秘が解消されるのです。

 

本当にそうなるのでしょうか?

考える前に、まずはさっそく一歩を踏み出してみましょう

記事を読みながら見よう見真似でお腹をマッサージし始めている人は、すでに便秘改善のスタートが切れていると思います。

この腸内環境・腸のカタチ・自律神経という「3つの整えていく方法」は、地味で地道な方法ですが、必ず便秘は改善していきます。

「なりたい自分になっていく」ことをイメージしながら、一緒にがんばりましょう。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。