福岡天神内視鏡クリニックブログ

γGTPについて

おはようございます。医師の秋山です。今日は、健康診断でおなじみのγGTPについて話をしたいと思います。興味がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

γGTPは、ガンマグルタミルトランスフェラーゼと言います。肝臓をはじめ、腎臓、膵臓、前立腺で作られ、存在しています。

健康診断でγGTPが高い方は以下を考えましょう。

①お酒を結構な頻度で飲んでいないか。

②運動不足で肥満になっていないか。あるいは最近体重が増えていないか。

③色んな種類の薬を飲んでいないか。

④胆石があると言われたことがないか。

⑤ウイルス性肝炎の可能性はないか。自己免疫性肝疾患の可能性はないか。

⑥家族にγGTPが高い人がいないか。

まずは皆さん①を考えるのではないでしょうか。医師もまずは①を考えます。でもなぜお酒を飲むとγGTPが高くなるのでしょう。

簡単に説明すると、アルコールに反応して、肝細胞内でγGTPが沢山作られるからです。沢山作られても肝細胞が壊れなければγGTP値は高くなりません。つまり、お酒をよく飲む人でγGTPが高い人は、肝臓がダメージを受けている人ということになります。あまり良くないですね。

②ですが、これは脂肪肝の可能性があります。肝臓に蓄積した脂肪が肝細胞をチクチクと攻撃し、肝細胞からγGTPを放出します。これも肝臓がダメージを受けていることが分かりますね。

③は薬剤性肝障害です。基本的にどんな薬剤でも起こりますが、γGTPが高くなる薬剤で有名なのは、抗てんかん薬、抗精神病薬、ステロイドホルモン薬などです。

④γGTPは胆管の細胞や胆汁内にも存在しています。このため、胆石がある方、また、胆石がある方は胆道系の腫瘍を合併することがあるため、これらでもγGTPが上昇します。

⑤B型肝炎、C型肝炎をはじめとした慢性肝炎の方はγGTPが上昇していることが多いです。慢性肝炎や肝硬変まで進行している場合、肝細胞癌が合併していることもあるため注意が必要です。

自己免疫性肝疾患は中年女性に多いです。難しいのでここでは割愛します。

⑥これは遺伝的にγGTPが高い方です。①~⑤のどれにも当てはまらない場合はこれになりますが、稀です。

以上、簡単にγGTPについて説明しました。検診で高値を指摘される方のほとんどが①ですが、γGTPが高い方はぜひ一度精査を受けてくださいね。

最近は桜が綺麗です。花見で一杯をやりたくなりますが、飲みすぎてγGTPが高くなるのは避けたいですね。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。