福岡天神内視鏡クリニックブログ

診察室での「アロマテラピー」の効果

おはようございます。医師の秋山です。

私は以前からアロマテラピーに興味を持っており、診療と日常生活に導入しています。

アロマテラピーは医療行為ではありませんが、みなさまの生活に気軽に取り入れていただけたらと思っています。

診療におけるアロマテラピーのメリットは、2つあります。

① 患者さんの不安・緊張を取り除くことができる

初めて当院を受診される患者さんは、個人差がありますが皆さまたいてい緊張しています。

だいたい初診時と内視鏡検査前の血圧が、日常の血圧よりも20~30mmHgは高くなっていることがほとんどです。

初診時は後日に内視鏡検査を受けていただくことが多いのですが、

● 「内視鏡検査がキツイ・痛い・苦しいのではないか」という不安

● 「胃や大腸にがんができているのではないか」という不安

● 「お腹の症状がよくなっていくのか」という不安

をもって来院されている方がほとんどだと思います。

私は内視鏡検査時には、「今日の体調」や「大腸内視鏡検査の下剤を飲むことは苦しくなかったですか」といった質問をして、できるだけ患者さんの緊張をほぐそうとしますが、検査直前の患者さんの多くは、非常に緊張されています。

目を閉じてうなずくだけの方もいて、私にも思わず緊張感が伝播してきます。

「もう、まな板の鯉になりました」と腹を据える方もいます。

「大丈夫ですから、安心してください」

緊張されている患者さんに話しかけながら、少しだけウトウトする鎮静剤を注射して検査に入ります。

検査が終了した1時間後には、先ほどの緊張感から解放された患者さんが笑顔で診察室に入ってきます。

よほど緊張していたのか、とたんに饒舌になる方もいますし、涙ぐんで「とても緊張していた」と打ち明けてくださる方もいます。

「内視鏡検査は苦しくない」と謳っているホームページやお友達のご紹介で、勇気を振り絞って受診していただいていますが、それでも胃カメラと大腸内視鏡検査を受けることは怖いものです。

私は内視鏡検査を安心して受けていただけるために、「初診時に患者さんとどれだけ信頼関係を築けるか」が大切であると思っています。

予約時間を過ぎていて焦っていても、なるだけみなさまが困っている症状をゆっくり聴くようにしています。

大部分を患者さんに話してもらい、私がその内容をカルテにまとめて今後の対応策を決定します。

この「大部分を患者さんに話してもらう」環境づくりとして、アロマテラピーが大変役に立っていると考えています。

開院した2017年時は、リラックス・鎮静効果が得られる「ラベンダー」の香りを診察室で使用し始めました。

続いてメリットの2つ目ですが、

② 私自身が診療効果を上げるために使用している

のです。

患者さんと良い信頼関係を結べるだろうか、いや結べるはずだと、初めの頃は心の中で緊張していましたので、ラベンダーの香りに癒されていました。

そのままラベンダーを継続してもよかったのですが、「私がラベンダーの香りに慣れてしまった」ために、2018年からは「シダーウッド」の香りを取り入れることにしました。

シダーウッドの効能は、ラベンダーとは少々違うものがあります。

心に対しては、リラックスというよりも「意識を安定させること」に重きを置いてみることにしました。

これは、がん検診の結果や周りの人たちから「がんではないか」と脅かされ、不安に駆られて受診される患者さんに対して、「よし、内視鏡検査を受けてみよう」という強い意志に変えることができるではないかと考えたからです。

私は毎日内視鏡検査を施行する側ですが、初めて内視鏡検査を受ける人にとっては、「次回バンジージャンプをしてください」と言われているようなものではないか、と思っています。

その方々に私がいくら「では次回内視鏡検査、頑張りましょうね」と言ったとしても、患者さん自身がその気にならなければ、内視鏡検査が意義のあるものではなくなってしまうのではないかと私は思っています。

初診時の診察が終わり、内視鏡検査の予約を取るために私の診察室を出ていく方には「次回は検査を頑張ってみようか」という決意を持っていただけたらといつも思っています。

シダーウッドは、その「決意」を診察時に持っていただくことにとても役に立っていたと思います。

さて2019年令和元年となる今年は、違う香りを取り入れています。

ローズウッド

これは、知り合いのアロマテラピストの方から教えていただいたものです。

ローズウッドは甘く優しい香りですが、アマゾンの熱帯雨林で長く生息している樹木から抽出しているので、芯の強さがあります。

精神的に疲弊してしまっている方、過去のトラウマを引きずっていて、胃腸の調子を崩してしまっている方に、効果があると思っています。

胃腸は「交感神経と副交感神経」という2種類の自律神経からの影響を大きく受けています

交感神経は、日中の生活を活動的に行うための自律神経です。

副交感神経は、リラックスして休息するための自律神経です。

交感神経と副交感神経のどちらが大切だと思いますか?

正解は「どちらも大切」です。

交感神経と副交感神経のどちらもが高い状態にいることをいわゆる「ゾーンに入った」ということがあります。

プロスポーツ選手が高い集中力を発揮しているときというのは必ずこの「ゾーン」に入っており、力むことなくベストパフォーマンスを出すことができると言われています。

プロスポーツ選手だけでなく、私達の日常生活も然りです。

交感神経と副交感神経がどちらも高いレベルに持っていくことができれば、毎日を快活に過ごすことができます。

自律神経を整えると、免疫力をアップさせることができると思います。

また自律神経を整えると胃腸の動きが活発になり、食欲も増進して便秘や下痢といった便通異常が改善できます

実際、みなさまの自律神経バランスはどうなっているのでしょうか?

20代から60代の社会人・主婦において、「交感神経の方が優位に上昇している」場合がほとんどであると思います。

「1億総ストレス社会」となっている現代の中で生き抜くためには、交感神経を日中いつも高めておかなければなりません。

いつも強い気持ちを持って会社の中で、またはPTAや主婦の間の中で戦っていなければならない時代です。

しかしこのように交感神経をいつも刺激していると、いつか交感神経が疲弊してしまいます

休んでいても疲れが取れなかったり、眠いのに眠れなくなっていたりといった状態となっている場合は要注意です。

この場合は、副交感神経を高めてあげることが重要になります。

「交感神経を鎮めればよいのではないか」という意見もあるかと思いますが、副交感神経が落ちている状態で交感神経を鎮めていくことだけに集中すると、どちらの神経も衰えることになります。

これは「無気力」の状態を引き起こすことになり、あまり良いことではありません。

平日に疲弊した心身を日曜日にゴロゴロして回復しようとしていても、あまりリフレッシュできないのは2つの自律神経のどちらもが落ちているからです。

交感神経が興奮しすぎていることも自律神経失調症になりますが、交感・副交感どちらの神経も落ちていることも自律神経失調症になります。

交感神経と副交感神経どちらもを上げて自律神経と整えていくことが、日々の生活を快活に過ごすコツになります。

 

話を戻しますが、ローズウッドの香りはこの両方の自律神経を高めることができる類まれなアロマと言われています。

ローズウッドの90%が「リナロール」というフローラルな香りでできています。

ローズウッドに含まれているリナロールには2つの成分があります。

1つは「ℓ-リナロール」です。

ℓ-リナロールはラベンダーにも含まれている甘い香りで、鎮静・抗不安作用があります。

女性に特有である「月経前の痛みやイライラ」といったPMS(月経前症候群)に対しても効果があります。

注目していただきたいのは、もう一つの成分である「d-リナロール」です。

こちらはバジルに含まれている成分で、気持ちを立て直してリフレッシュさせる効果があります。

ローズウッドはこの「鎮静」と「覚醒」の両方の効果を持つアロマなのです。

何よりウッド系のアロマは、心の深い部分を覚醒させることができると言われています。

人間には本来、心の奥底に眠っている計り知れないパワーを持ち合わせているのではないかと私は思っています。

シダーウッドやローズウッドの香りに触れていることで、普段のベストパフォーマンスもしくは自身が想像している以上の力が発揮できるのではないでしょうか。

よろしければ、一度アロマを手に取って嗅いでみてください。

自身の一番好きな香りを1つ持っておくのも良いかと思います。

もちろん私の診察室でもお待ちしています。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。