福岡天神内視鏡クリニックブログ

「令和時代」の医療の展望

おはようございます。医師の秋山です。

令和元年の初日のブログになりました。

新しい時代になりましたので、

①消化器科の最近のトピックス

②私の「便秘外来」での新たな発見

について書いてみたいと思います。

① 消化器科の最近のトピックスです。

各々については、後日のブログで書くことにして今回は羅列だけさせていただきたいと思います。

1.胃:上腹部症状の原因が「胃酸」から「消化管粘膜の知覚過敏」によって説明されるように変わってきた

使用される内服薬も、胃酸を抑える時代から、より生理的に胃の運動を促進するものに変化していくと思われます。

 

2.膵臓:がん統計の部位別死亡率は第4位だが、5年生存率は7~8%と治療成績が未だに低い。

また最近話題の「免疫チェックポイント阻害薬」は膵臓癌では効きにくいとされていますが、「数%のある特殊な膵臓癌では奏効率が60%ある」との報告もあり、今後期待される治療法の1つとして検討されています。

 

3.肝臓:C型肝炎のウイルス駆除(SVRと言います)が内服薬のみで100%に近い確率で可能となった。

C型肝炎は撲滅できる時代になりましたが、一部でウイルス駆除後の肝臓がんが問題となっています。

その特徴は高齢者、男性、飲酒者、肝硬変等々です。

また現在内服薬のみでウイルス駆除ができる時代となりましたが、この内服薬が発がんを促進してしまう症例もあるようです。

肝臓がんと胃がんは減少していますが、ピロリ菌除菌後の胃がんもありますのでまだ注意が必要と言えそうです。

 

4.大腸:大腸がん患者数は激増しており、近い将来大腸がん罹患者数が全てのがんの中で第1位となることが予想されている。

ただ、大腸がんは「内視鏡検査を定期的に受ける」だけで予防できる、数少ないがんになります。

定期的に受ける理由は大腸ポリープが毎年できてくるからではなく、「内視鏡施行医」による故意でないポリープの見落としが20~25%あるからです。

JPS(日本におけるポリープを全国統計した研究)では、「1回目の大腸内視鏡検査でポリープを全て取り切っているのにも関わらず、1年後の大腸内視鏡検査で0.2%の確率で浸潤癌が発見された」と報告しています。

「過ちは人の常なり」とも言いますが、このことから言えることは、

「大腸内視鏡検査は30歳以降で最低2回は受けるべき」であると私は考えます。

もちろんポリープが見逃されないように、私達はより一層の丁寧な観察を心がけていきます。

「苦しくない内視鏡検査」は開院からのモットーですので、大腸内視鏡検査の普及を今後も推進して参りたいと思っています。

② 便秘外来について

おかげさまで、便秘外来に来てくださる患者さんがとても多くなりました。

「1日の生活リズムの改善」と「整腸剤の習慣化」で、多くの方が改善しています。

酪酸菌の摂取をベースにして、マグネシウムや漢方薬を適宜使用することで、便秘は改善するものだと改めて確信しています。

外来患者さんでは、「お腹の張りの改善」と「残便感、便意があるのに出ない」場合が多いので、麻子仁丸の1日1~3回内服がかなり効果的になっています。

麻子仁丸には便を軟らかくする「麻子仁」と、大腸を刺激する少量の「大黄」が含まれています。

できれば大黄の成分を少なくしていけることがベストですが、便通外来の始めは「便を出す」という習慣づけのためにこの「麻子仁丸」の使用が丁度よいと思っています。

便秘改善のため、ベースとなる「酪酸菌(ミヤBM錠や強ミヤリサン錠)」を必ず入れています。

腸内環境を長期投資で改善しながら便通を良くしますので、いずれは麻子仁丸も減らしていくことができます。

酪酸菌は、「酢酸」「プロピオン酸」とともに短鎖脂肪酸と言われており、腸内のエネルギーになりやすいのです。

 

整腸剤でもなかなか便秘が改善してこない場合には、食生活を中心とした日常の習慣の背景を伺うことにしており、これでほぼ便秘は改善してます(過敏性腸症候群のような下痢もこれで改善しています)。

便秘の方の特徴として、

① 朝食を食べる習慣がない。あるいは忙しくて昼食を食べる時間がない

② 夜寝る時間が、ほとんどの方で0時を過ぎている

ことが分かってきました。

① 前日の夕食から当日の昼食までの時間、当日の朝食から夕食までの時間が空きすぎており、胃腸が不規則に動くことになっています。

② 自律神経の整えに大切な成長ホルモンは、夜中の0時に分泌が最大になります。

特に寝入った90分間のノンレム睡眠の質が、成長ホルモンの分泌のカギを握っています。

 

以上です。

連休中に、最後まで読んでいただきありがとうございました。

令和の時代は今まで以上に医療の非常識が常識になったり、その逆も大いにある数10年になると思っています。

AIも積極的に医療に取り入れられると思いますし、AIにより医療が進化することを期待しています。

みなさまにブログを通して、健康のことをもっと知っていただけるきっかけになればと思っています。

これからもよろしくお願いいたします。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。