こんにちは、医師の秋山です。
先日、漢方の勉強会に参加しました。
漢方薬は西洋薬とは大きな違いを持っています。
西洋薬は降圧薬や糖尿病薬のように、ピンポイントに疾患に効いていきます。
漢方薬は作用点がたくさんあって、全体として体調を良い方向に持っていき、【自らの力】で疾患を治すイメージです。
漢方薬は特に次の分野が得意分野と言われています。
1、カゼ 2、婦人科疾患(更年期障害) 3、便秘 4、何となく全身の調子が悪いとき
この4つはピンポイントで治療しにくい、西洋薬が苦手な分野になりますので、漢方薬の出番になります。
今回は3の「便秘の漢方薬」について書きます。
① 麻子仁丸(ましにんがん)
これは腸管内を潤しながら、便通を良くする漢方です。
「まだ便を出す力があるのだけど、何らかのきっかけで便が出なくなっている」人に向いています。
便が出にくい、お腹が張ったりするが、便秘薬を使うのは怖いと思っている方が、初めて使用するのに向いていると思います。
② 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
これは今まで便秘薬特に大腸刺激性の下剤を使用してきた方に、オススメです。
自分で排便する力がなくなっている「弛緩性便秘」の方に一度試していただきたいと思います。
漢方は1日に3回内服します。
量が多いのではないか、と思うかもしれませんが、この量が「効果の確実に出る最小量」と考えて大丈夫です。
2週間ほど内服して効果が得られなかった時は、作用点がマッチしなかったと考えて他の漢方薬に変えてみましょう。
これらの漢方には、「西洋薬のように癖にならないのか」と心配になるかと思います。
これらの漢方には「大黄」という成分が入っていますので、常習性は少しあります。
でも西洋薬のセンナのような強い依存性はありませんので、安心して飲んでもらって大丈夫です。
漢方薬は胡散臭いイメージがあるかもしれませんが、基本的に食べ物のようなものです(稀に副作用がありますが)。
確実に値を下げるというものではありませんが、人間の自然治癒力を高めてくれますので、試してみる価値があると思います。