おはようございます。医師の秋山です。最近読んだおすすめの本を紹介します。
「泣くな研修医」という小説です。
この小説の著者は、現役の消化器外科医師である中山祐次郎先生です。題名から察することができますが、研修医が悩み苦しみながら成長していく奮闘記です。なんとなくサクッと読める本が欲しくて買いましたが、あっという間に読んでしまいました。研修医の医療現場を驚くほどに細かく、リアルに描写されています。そこには変な脚色は一切なく、研修医は本当に小説のような日常を過ごしています。「そこまで書くの?」というレベルです。我々医療従事者が使う専門用語や隠語も文中に沢山出てくるのですが、文体が読みやすいため分かりにくいことはないです。
6年間という長い長い学生時代を過ごし、数ヶ月間にも及ぶ辛い卒業試験をクリアした後、医師国家試験に合格し(医師国家試験の合格率は毎年約90%ですが、相当勉強しないと確実に落ちます)、卒業したと思ったら突然研修医として第一線の医療現場に投げ出される。受け持った患者さんの状態が悪ければ、いつ呼ばれてもいいように病院に何日も泊まりこむ。オーベン(指導医)に毎日怒鳴られながら患者さんの病気について勉強する。採血のやり方も分からず、看護師さんに教えてもらう。そのうち救えない命がある事実に直面し、自分の無力さを痛感する。それでも患者さんは次々にやってくる。そうやって医師として少しずつ成長していく・・・これが医師の医療現場の現実というところでしょうか。辛いことばかり書きましたが、患者さんの病気が治り、元気になった時の喜びは何ものにも代えがたく、患者さんの笑顔はこのような日常を吹っ飛ばしてくれる不思議な力があります。
この小説を読んで、医師という仕事に少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。