福岡天神内視鏡クリニックブログ

若年者のピロリ菌感染について。

おはようございます。総院長の秋山です。少しずつ秋の気配がしてきましたね。秋は私が一番好きな季節です。

先日、佐賀大学医学部小児科学講座より、佐賀県で行われていた若年者ヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌)検診事業のデータをまとめた論文が雑誌に掲載されたとのことでゲラ刷りが送られてきました。

なぜ私のところに送られてきたのかというと、私が佐賀市内の病院で勤務していた時にこの事業に協力していたからです。

A Helicobacter pylori screening and treatment program to eliminate gastric cancer among junior high school students in Saga Prefecture: a preliminary report

J Gastroenterol(2019)54;699-707

簡単に説明すると、この検診事業は2016年から2018年の3年間、佐賀県内の中学3年生を対象に、ピロリ菌陽性者を拾い上げ、協力病院でピロリ菌除菌治療を行うというものです。佐賀県全体で総力を挙げて行った、全額公費助成事業です。2016年に始まった当時、県全体で行う事業としては全国に先駆けて行われたものであった、と記憶しています。

結論ですが、2016年から2018年の3年間、佐賀県内の中学3年生のべ21,368人中、ピロリ菌陽性者は660人(3.1%)でした。その後、各病院で除菌治療を行い、全例でピロリ菌除菌成功が確認されています。

非常に興味深いデータだと思います。日本人のピロリ菌感染率は、年代とほぼ同じと言われており、感染率が40代は40%、50代は50%、60代は60%というのが一般的です。そう考えると10代は10%となるのですが、3.1%となると予想より低い数値ですね。

一般的に、ピロリ感染は5歳までに感染が成立します。幼少期は免疫力が低いから感染してしまうのですが、感染経路としては①ピロリ菌に感染している親から食べ物を口移しで食べさせてもらい、感染する。②井戸水や山水などを飲んで育つ。③保育園や幼稚園のおもちゃの共有で感染する。

と言われています。

これだけ感染率が低下した要因としては、田舎でも衛生環境が整っているということ、ピロリ菌が認知されるようになり、両親が口移しで食べ物を与えないようになったこと、核家族化などが要因なのではないでしょうか。

今後、佐賀県全体で胃がん罹患者数が減っていくのではないかと思います。非常に有意義な事業ですね。

 

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしています。

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。