福岡天神内視鏡クリニックブログ

「N-NOSE」について

おはようございます。医師の秋山です。

先日、患者さんから「N-NOSEについてご存知ですか?」と聞かれたため、自分が知っている限りのことを話しました。質問にうまく答えられなかったところもあったため、きちんと勉強した方がいいと思い、「N-NOSE」について自分なりに調べ、考えたことを書きたいと思います。

「N-NOSE」は、別名「線虫検査」とも呼ばれている、1滴の尿でできる、がんのスクリーニング検査です。がんの方と、がんでない方の尿の臭いを線虫が嗅ぎわけます。がん患者の尿の臭いは線虫が好む臭いであるということを利用した検査です。実は福岡県で開発されました。2020年1月から実用化されており、福岡県の特定の医療機関でももうすぐ検査できるようになります。

現在、15種類のがん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮がん、膵臓がん、肝臓がん、前立腺がん、食道がん、卵巣がん、胆管がん、胆嚢がん、膀胱がん、腎臓がん、口腔・咽頭がん)に線虫が反応することのことで、これらのがんを発見するのに役立つ検査となっています。しかも進行がんだけでなく、ステージ0,1の早期がんにも反応します。検査費用も安価であり、1万円前後で検査可能とのことです。

さて、肝心の感度(がん患者をがんと診断する確率)、特異度(がんではない方をがんではないと診断する確率)ですが、どちらも85%です。これは早期がんでもこの確率です。

夢のような検査ですね。私も非常に興味がありますが、問題点もあります。

 

線虫検査では、がんの種類や、がんの進行度は現時点では特定できないです。つまり、今現在、自分に15種類のがんがあるかないか、というざっくりとしたスクリーニング検査という位置付けですね。

陽性となった方は「15種類のうち、どのがんなんだろうか」と不安になるのではないかと考えてしまいます。

 

また、感度、特異度が85%というのをどう考えるかです。難しいことを抜きで簡単に、ざっくりと説明すると、

15種類のがんのどれかに罹患している患者さん100人のうち、15人は線虫検査が陰性となります。また、15種類のがんに全く罹患していない100人のうち、15人が線虫検査で陽性となることになります。

つまり、陰性だから一安心というわけではなく、陽性だからといって必ずどれかのがんに罹患しているわけではない、ということになります。

ただ、線虫検査も将来的にはがんの種類が特定できるようになるでしょうし、感度、特異度も上がってくると思います。これからに期待というところですね。

ちなみに、食道がん、胃がん、大腸がんは胃カメラ、大腸内視鏡検査での定期的な検査が一番であることを記しておきたいと思います。

その理由ですが、、、クリニックを受診し、検査を受けられた時に説明しますね。

それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。