福岡天神内視鏡クリニックブログ

目に見えない疾患の「見える化」計画(胃カメラ編①)

医師の秋山です。

私たち消化器内科医は、消化器疾患のプロですが、疾患によっては得意・不得意な分野があります

https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/blogpage/wp-admin/profile.php医師による個人差はあれ、多くの消化器内科医が不得意とする分野は大抵決まっているのではないでしょうか。

 

それらは「機能性ディスペプシア」「過敏性腸症候群」「SIBO(小腸細菌増殖症)」「非びらん性食道胃逆流症(NERD)」などです。

名前だけでも混乱するかもしれません。

どうして得意でないかと言うと、これらの疾患は「目に見えない疾患」だからです。

 

逆流性食道炎、胃腸の潰瘍やがんは「目に見える疾患」です。

これらの目に見える疾患は、医療が進歩して改善率がとても高くなりました。

対して「目に見えない疾患」は、日本では診断・治療が遅れており、患者さんに満足のいくものにはなかなかなっていないのが現実です。

 

「つかみどころがなく」得意でないのか、元々これらの疾患に興味がないから得意でないのかは定かではありませんが、これら目に見えない疾患で多くの患者さんが困っていることは事実です。

患者さんも「見て証明される」疾患でないからといって、「気のせい」とか「精神的なもの」と扱われてしまうことは納得がいかないと思います。

 

そこで今回(と次回)は「胃の機能性ディスペプシア」という疾患について、目に見える化を試みてみました。

次のように説明したら、患者さんも納得するのではないかと考えてみましたので、お時間があれば最後までご覧ください。

 

「機能性ディスペプシア」とは、検査を行っても症状の原因となる異常が見つからないにも関わらず、繰り返し胃の症状(胃もたれや胃痛)を訴える病気のことを言います。

つまり胃潰瘍や胃がん、逆流性食道炎はないことが前提で、胃痛や胃もたれに困っている人の疾患を「機能性ディスペプシア」と呼んでいます。

「そういえば胃痛や胃もたれがいつもあるな」と感じる方がいるかもしれません。

目に見えて証明できる疾患が存在しない」ということが機能性ディスペプシアの定義になるのです。

実際機能性ディスペプシアの原因は、「胃壁の知覚過敏」と「胃の動きの悪さ」と言われています。

 

それではまず「胃壁の知覚過敏」を胃カメラで見える化してみましょう。

当クリニックでの胃カメラは苦しみに配慮しているので、うとうとする鎮静剤を使用します。

このため眠っている間に検査が終了するため、終了後に「もう終わったのですか?」とよく言われます。

このように検査中の記憶はありませんが、実際には検査中に胃の中にパーンと空気を入れると機能性ディスペプシアの患者さんは無意識に「キツそうな顔をする」のです。

また、検査後の説明時に「何だか胃が痛みます」とおっしゃることがあります。

胃の中に空気が入って胃壁が引き伸ばされていることに敏感な方は、これを「痛い」と認識するのです。

「検査中に無意識にキツそうな顔をしていましたよ」

と説明すると、患者さんは「そうなのか」と納得されることが少なくありません。

 

ただ、この「キツそうな顔」の判定には私の主観も入っていますが、胃の知覚過敏の視覚化には有用ではないかと思います。

次回は「患者さんと閲覧して、機能性ディスペプシアが分かる方法」に続きます。

秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。