おはようございます。医師の秋山です。
今回は、カプセル内視鏡の解説その2です。その1は以下URLですのでご覧ください。
https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/blogpage/2021/06/21/9933/
さて、今回は、カプセル内視鏡の特徴と欠点について解説します。
「小腸カプセル内視鏡」でできる最大の特徴は、
従来の内視鏡検査で観察ができなかった小腸を観察し、撮影することができる点です。これにつきます。
小腸は「腸管の暗黒大陸」と言われてました。それは、従来の内視鏡が届かない上に、小腸の病気自体が少ないからなんです。
ちなみに全消化管の病気のうち、小腸の病気は1%未満(約10万人に1人)と言われています。
(最近は食生活の欧米化に伴い、小腸の病気が少しずつ増加してきました。小腸潰瘍や小腸ポリープ、クローン病などです)
まとめると「小腸カプセル内視鏡」は
「小腸の病気を発見するためのスクリーニング検査」
や
「小腸の病気の治療効果があるかを確認するためのフォローアップ検査」
に最も適した検査という位置付けになります。
次に、「大腸カプセル内視鏡」でできる最大の特徴は、
従来の大腸カメラ検査で
①腸が長いなどの理由で大腸の奥まで検査ができなかった方
②腹部の手術歴があり、大腸カメラの挿入が困難と判断された方が、痛みや苦しみを伴うことなく検査できると予想される方
が、苦痛なく大腸内を観察できるという点、につきます。
次に、カプセル内視鏡の最大の欠点を説明します。
小腸カプセル内視鏡も、大腸カプセル内視鏡も、ポリープや潰瘍などの病変を発見しても、組織を採取したり、病変を切除するといった精密検査や治療は全く行うことはできません。
カプセル内視鏡検査はあくまで観察のみしか行えない検査です。
もしカプセル内視鏡で病変を発見した場合は、さらなる精密検査として、従来の大腸内視鏡検査や小腸内視鏡検査を後日に再度洗腸剤を服用して行う必要があります。
具体的には、小腸で病変を発見し、精密検査や治療が必要と判断すれば、小腸内視鏡検査を行います。長さ約2mほどの特殊な小腸ファイバー専用スコープを用い、病変がある小腸に向けて口あるいは肛門から挿入します。特殊な検査なので検査時間がかなり長く、体にかなり負担がかかりますので、入院での検査となってしまいます。
大腸で病変を発見した場合も、精密検査や治療が必要と判断すれば、大腸カメラ検査を行います。この場合、再度下剤や洗腸剤を飲んで検査することになります。
カプセル内視鏡検査は、胃カメラや大腸カメラの代わりの検査となるのでは決してないことがわかりますよね。
当院のHPでもカプセル内視鏡について解説したページがございますので以下URLをご覧ください。
https://www.fukuoka-tenjin-naishikyo.com/capsue/
以上、カプセル内視鏡の解説でした。
「寄生虫博士」である藤田紘一郎先生がお亡くなりになりました。
東京医科歯科大学名誉教授であり、私の母校である長崎大学の寄生虫学教授も歴任されています。
藤田先生の本はどれも面白くて読みやすいのでお勧めです。私もできる男になりたくて腸トレしてます。
ご冥福をお祈り申し上げます。
それでは今週も頑張りましょう。クリニックでお待ちしております。