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カプセル内視鏡とは、カプセル型の形状をした内視鏡であり、長径約3cm、直径約1cmほどの大きさです。
カプセル内に小型カメラが内蔵されており、1秒間に2枚〜35枚のスピードで写真を撮りながら、
腸管内を進みます。検査時間は個人差がありますが、平均5〜6時間で終了します。
検査終了後、カプセル内視鏡は、1〜2日後に便と一緒に排出されます。
腸内で撮影された画像は、患者様の体幹に貼り付けたセンサーを経由して
腰に装着した装置に転送され、後日医師により画像を読影します。
従来の大腸カメラと同様に、前処置が必要ではありますが、検査自体はカプセルを飲み込むだけであり、
検査中は外出したり、デスクワークしたりとそこまで大きな制限はありません。
2007年10月より、「小腸カプセル内視鏡」が保険適用となり、
2014年1月から「大腸カプセル内視鏡」が保険適用となりました。
費用としては、3割負担で3万円〜3万5,000円と比較的高額な検査となっています。
保険適用について
小腸カプセル内視鏡
大腸カプセル内視鏡
※ペースメーカーを埋め込んでいる方は検査ができません。
保険適用は限定的であり、上記に当てはまらない方は自費診療でしか検査できないことになってしまいます。
自費診療の場合、1回のカプセル内視鏡検査で10万〜12万円もの費用がかかります。
まず、カプセル内視鏡で観察ができる消化管は、小腸と大腸のみです。
食道、胃はカプセル内視鏡では観察できませんのでご注意ください。
「小腸カプセル内視鏡」でできる最大の特徴は、従来の内視鏡検査で観察ができなかった部位を観察し、画像を撮影することができることです。特に、カプセル内視鏡では小腸の観察を行うことに意義があります。小腸は胃と大腸の間にある臓器であり、全長5〜6mほどの長さがあります。食べ物を消化し、栄養を吸収するという重大な役割があります。
この小腸は、今までは「暗黒大陸の臓器」と言われていました。
従来の内視鏡が届かない上に、小腸の病気自体が少ないからです。全消化管の病気のうち、小腸の病気は1%未満(約10万人に1人)と言われています。
最近は食生活の欧米化に伴い、小腸の病気が少しずつ増加してきました。潰瘍やポリープ、がん、クローン病などです。
「小腸カプセル内視鏡」はこれら小腸の病気を発見するためのスクリーニング検査や治療効果があるかを確認するためのフォローアップ検査に最も適した検査です。
「大腸カプセル内視鏡」でできる最大の特徴は、
従来の大腸カメラ検査で
にとってベネフィット(利点)があるということです。
ただし、大腸カプセル内視鏡も従来の大腸カメラと同様に、前処置としての下剤や洗腸剤の内服は必要です。
また、大腸カプセル内視鏡で大腸ポリープや大腸がんを発見した場合、
後日改めて再度洗腸剤を服用して、再度大腸カメラ検査を行い病変の精密検査や切除術などの治療を行う必要があります。
かなりの2度手間となってしまいます。
小腸カプセル内視鏡も、大腸カプセル内視鏡も、ポリープや潰瘍などの病変を発見しても、
組織を採取したり、病変を切除するといった精密検査や治療は全く行うことはできません。
カプセル内視鏡検査はあくまで観察のみしか行えない検査なのです。
もしカプセル内視鏡で病変を発見した場合は、さらなる精密検査として、
従来の大腸内視鏡検査や小腸内視鏡検査を後日に再度洗腸剤を服用して行う必要があります。
具体的には、小腸で病変を発見し、精密検査や治療が必要と判断すれば、小腸内視鏡検査を行います。
長さ約2mほどの特殊な小腸ファイバー専用スコープを用い、病変がある小腸に向けて口あるいは肛門から挿入します。
特殊な検査なので検査時間がかなり長く、体にかなり負担がかかりますので、入院での検査となってしまいます。
大腸で病変を発見した場合も、精密検査や治療が必要と判断すれば、大腸カメラ検査を行います。
この場合、再度下剤や洗腸剤を飲んで検査することになります。
まず、下記の保険適用に該当する方はカプセル内視鏡検査の適応と考えます。
小腸カプセル内視鏡
大腸カプセル内視鏡
その他、上記①②③の保険適用に該当しない方で、
健康診断目的でカプセル内視鏡を受けたい方は自費診療で受けることもできます。
費用は病院によりますが、だいたい10万〜12万円で設定されています。
カプセル内視鏡検査は
不要?
01 小腸の病気は消化管の病気の中でも1%未満(約10万人に1人)
02 大腸カメラ検査で大腸の奥まで到達できない方は非常に少ない
03 自費診療の料金がかなり高額である(約10万〜12万円)
以上の3つの理由より、カプセル内視鏡を受ける方はかなり限定されます
ほぼカプセル内視鏡検査を受ける
必然性・必要性がありません!
大腸カメラ、カプセル内視鏡、大腸CT検査の比較表です。
横スクロールでご確認いただけます。
比較項目 | 大腸カメラ | 大腸カプセル内視鏡 | 大腸CT検査 |
---|---|---|---|
前処置 | あり | あり | あり |
検査時間 | 15〜20分 | 5〜6時間(身体に機器を取り付ける必要あり) | 10~15分 |
鎮静剤 | 使用 | 不可 | 不可 |
検査中の苦痛 | なし〜軽度 | なし | あり (腹部の張りがかなりあり) |
被曝 | なし | なし | あり (かなりの医療被曝あり) |
ポリープ切除 | 可能 | できない | できない |
病理検査(生検) | 可能 | できない | できない |
隆起型ポリープ診断(5mm未満) | ◎ | △ | ほぼ✕ |
隆起型ポリープ診断(5mm以上) | ◎ | 〇 | △ |
平坦型ポリープ診断 | ◎ | △ | ほぼ✕ |
早期大腸がん診断 | ◎ | ◯〜△ | △〜✕ |
進行大腸がん診断 | ◎ | ◎ | ◎ |
◎:上級医であれば確実に発見可能
〇:上級医であればかなりの確率で発見可能
△:上記医であっても発見が難しい
✕:上記医であっても発見はほぼ不可能
比較表により分かること
01 10mm以下の大腸ポリープや早期大腸がんは、大腸カプセル内視鏡や大腸CTでは見つけることが困難
正確性に欠けるというのが現時点では一番の問題となっており、患者さんにとっての一番のでデメリットであると考えます。平坦型のポリープや早期大腸がんに関しては大腸カプセル内視鏡や大腸CTでは、発見することは現時点ではほぼ難しいと思われます。
02 大腸カプセル内視鏡や大腸CTではその場で切除不可能
大腸ポリープや早期大腸がんが見つかったときに大腸カメラであればその場で痛みや苦痛なく日帰り切除することが可能ですが、大腸カプセル内視鏡や大腸CTではその場で切除不可能であり、再度洗腸剤を服用して大腸カメラを行わないといけなくなり、肉体的にも金銭的にも時間的にも大変大きな損失を被ることになってしまいます。
上記2つの理由より、
基本的には通常の大腸カメラ検査を
受けることを推奨します。
以上より、カプセル内視鏡検査は、
カプセル内視鏡検査の保険適用に該当する方限定で有効的な検査となる可能性がありますが、
基本的には検査精度でかなり見劣りする検査となってしまいます。
ただ、大腸カプセル内視鏡を受けるメリットがある方は、かなり限定された方だと認識して間違いないと思われます。
ここで、従来の大腸カメラ検査のメリット、デメリットを提示します。
大腸カメラ検査のメリット
大腸カメラ検査のデメリット
このように大腸カメラにはたくさんのメリットがあります。
検査中に医師の内視鏡技量の差により腹痛やお腹の張りなどの不快感を感じることがありますが、
これは鎮静剤の使用や、内視鏡技術の高い内視鏡医をきちんと選ぶことにより明らかなデメリットとはならなくなります。
最適な医師の選択や適切な内視鏡検査施設の選別を行う
ようにしてください。
基本的に、
カプセル内視鏡検査は大腸カメラに
取って代わる検査ではなく、
あくまで
大腸カメラ検査ができない方、過去に大腸カメラ検査を行って検査ができなかった方
を対象とした検査です。
福岡天神内視鏡クリニックでは、苦しさと痛みに配慮した大腸カメラ検査を行なっております。
初めて検査を受ける方はもちろんのこと、過去に他院で大腸カメラ検査を受け、痛くて苦しい思いをされた方や
大腸の奥まで挿入ができなかった方も問題なく検査することが可能です。
是非一度福岡天神内視鏡クリニックの大腸カメラ検査を受けてください。お待ちしております。