まず、日本における疾患の実態(データ)を知るところから始めましょう。
日本人の死因の1位は「がん」です。
2人に1人が、「がん」にかかります。
そして3人に1人が、「がん」で亡くなります。
今まさに隣にいる友人や家族と顔を合わせると、
「自分か相手が、ゆくゆくはがんにかかるのだ」
という確率です。とても高い確率です。
部位別がん死亡率をみますと、男性では1位が肺がん、2位が胃がん、3位が大腸がんです。
女性では1位が大腸がん、2位が肺がん、3位が胃がんです。
消化器のがんである胃がんと大腸がんが男女とも上位3位を常に占めている状況です。
このようにみると、胃がんと大腸がんにならなければ、または早期で発見できれば、がんで亡くなるリスクがかなり下がることが分かります。
「でもがんになってしまったら、もう手遅れなのではないか?」
と思われるかもしれません。
たしかに進行がんまで進んでしまうと、治療が後手後手に回り、命を落とすことが多くあります。
下記グラフのように年齢的には40歳以降からがんにかかるリスクが徐々に上がっていきます。
しかし逆に考えると、「40歳前後から、がんにならないか厳重に見張っていれば」がんの早期発見・早期治療ができるということになります。
また、もし仮にがんができてしまっても、早期がんの状態で発見する可能性が高くなります。
現代の医療はとても進歩していますので、早期発見できれば低侵襲で早期がんが治療でき、治療後に生き続けられる確率が格段に高くなります。
診療中に患者さんとお話していると、がんができると「痛い・苦しい」などの症状が出ると思っている方が多くいると実感します。
驚くかもしれませんが、実際がんが見つかった方で
何かしらの症状があったということはほとんどありません。
実はがん自体には神経があるわけではないので痛みや違和感などの自覚症状がでることはまずありませんので注意が必要です。例えば
それでは、次に全国都道府県の胃がん、大腸がんの検診受診率を見てみましょう。
まずは2016年の胃がんの検診(胃レントゲン検査、胃カメラなど)の受診率(どれぐらい受けているかの割合)の都道府県別グラフです。
全国平均が40.9%です。福岡県は38.2%と全国平均を下回っていました。
これは、都道府県別の37位(47都道府県中)に位置します。
福岡県は全国的にもかなり低い受診率です。
次に、大腸がんの検診(便潜血、大腸内視鏡検査など)の受診率の都道府県別グラフです。
全国平均が41.4%です。福岡県は36.4%と全国平均をはるかに下回っていました。
これは、都道府県別の42位(47都道府県中)に位置します。胃がんの検診受診率よりもさらに低い数値です。
以上より、全国で胃がん、大腸がん検診を受ける人は半分にも満たず、
その中でも福岡県は胃がん、大腸がんの検診に対する意識が全国的に見ても低いことが分かります。
日本は欧米諸国と比べても検診受診率は最低水準と言われています。先進国においてがん死亡率が年々増加しているのは日本だけです。
日本の医療レベルは世界最高水準なのに、がん死亡率が増加しているのはなぜでしょうか。その原因の1つがこの検診に対する意識の低さではないかと考えられます。
内閣府が平成26年度に行った調査によると、検診を受けない理由として、
「受ける時間がない」が48.0%で最も多く、以下「費用がかかり、経済的にも負担」38.9%、
「がんであると分かるのが怖いから」37.7%、「健康状態に自信があり、必要性を感じない」33.1%の順でした。
胃がん、大腸がん検診を受けることにより、がん予防、および早期発見に有効であると考えます。
40歳を過ぎたらぜひ内視鏡検査などの検診を受けるようにしましょう。
医療が進歩して、早期がんの治療も身体に負担なく低侵襲でできる時代になりました。
しかしながら、胃がん・大腸がんで亡くなる人はあまり減っていません。大腸がんに関してはむしろ増えています。
欧米型のがんである大腸がんに至っては、乳がん・前立腺がんと共に近年急激に増加しています。
胃がん・大腸がんで亡くなる人が減らない理由は、
「自覚症状がないからという理由で、
内視鏡検査を受けていなかったから」
という側面もあります。
胃と大腸の進行がんの方の事を振り返ってみると、多くの方が
「これまで自覚症状が特になかったので
一度も内視鏡検査を受けたことがなかった」
と言われています。
胃カメラと大腸内視鏡検査をある程度定期的に受けている人は、
胃がんの場合は大部分がお腹を切らずに内視鏡治療のみで完治できる段階で早期発見でき、
大腸がんの場合は大腸ポリープを事前に切除することにより予防ができるのです。
その理由は胃がんと大腸がんはがんがひどくなるまでに少し時間がかかるからです。
若いころに罹患し亡くなってしまう、乳がん・婦人科のがんに比べると、胃がんと大腸がんは進行に多少のゆとりがあります。
ただ他の臓器のがんと同様にがんができても、症状としてのシグナルは出してくれません。
そう考えると、胃がん・大腸がんはあたかも早期で発見されるのを待ってくれているとも言えます。
「便秘になりやすい」とのことで受診した40代の男性です。 S状結腸と下行結腸にそれぞれ2cm大の大きなポリープを認めました。 内視鏡観察後にそのまま切除しました。 顕微鏡の結果は2つのポリープ共に早期大腸がんでしたが、内視鏡治療で完治しています。
腸管をふさぐほどの大きさのポリープではないために、便秘の原因にはなってないと思われます。 ご本人が「1度大腸内視鏡検査を受けてみようかな」と思い立ったことが、がんの早期発見につながりました。
胃カメラ・大腸内視鏡検査は受けた方がいいのではないか、と気になってきた方もいると思います。
しかし実際に内視鏡検査を受けている方は、まだまだ少なく成人の10%にも満たないとも言われております。
胃カメラ・大腸内視鏡検査を受けない理由ですが、
「受ける理由がない」からだと思います。理由を2つに分けてみましょう。
①について
お腹が痛ければ病院に行くけれど、症状もないのにわざわざ病院・クリニックに行かないのは分かります。
②について
胃レントゲン検査や便潜血検査で引っかかると、やれやれと仕方なく病院やクリニックに行きますが、
そうでなければわざわざ行かないのも分かります。
でも、先に書きましたようにがんはできてもシグナル(症状)を出してくれません。
また早期の胃がんはレントゲンには決して引っかかってくれません。便に血が混じらない大腸がんも大多数です。
残念ながら、胃レントゲン検査と便潜血検査のがんを見つける精度はかなり低いものです。
下記のページに、より詳細な胃レントゲン検査と便潜血検査について記載していますので、参考にされてください。
人間ドックや会社の健康診断での胃レントゲン検査だけで済ませていませんか?
大腸がん検査を便潜血検査だけで済ませていませんか?
そして2人に1人ががんになるという現在の日本においては、隣にいる人か自分かどちらかが、1/2の確率で将来がんになるのです。
これは結局、「自らが動いて内視鏡検査を受けていくこと」でしか、がんの早期発見・予防ができないことを意味しています。
症状もなくて、検診でも引っかからなかったときに病院やクリニックに行くと、原則は保険診療にはならず、
自費診療になります。
「自費診療と聞くと、とんでもないお金を払わなければならない。」
国民皆保険制度の日本では、そういうイメージがあると思います。
下に自費診療での胃カメラ・大腸内視鏡検査の金額を記しました。
「自身の生活のパフォーマンスを長く維持したい」
「愛する家族のために、自分ががんになるわけにはいかない」
“自分への投資”として自費診療で内視鏡検査を受けてみる、お金を払う価値があるかぜひ検討してみてください。
症状がある場合や検診での異常を指摘された場合は医師の判断により保険診療となりますので、まずは一度ご相談ください。
以前は胃カメラと大腸内視鏡検査を1日でできる施設が多かったのですが、最近では保険診療とみなされないため、全国的に各々別々の日で行うようになってきています。
「“内視鏡検査を受ける日”として1日取られるだけでも大変なのに、2日もかけている時間はない。」
というのがみなさまの正直な気持ちではないでしょうか。
「身体は大切にしたいけれど、ゆっくり検査をうけている時間が取れない」
方は検診(自費診療)での検査がおススメです。 料金は下に記しています。
胃・大腸は一度粘膜を観察すると、
「将来の胃がん・大腸がんへのなりやすさ」
を知ることができます。胃や大腸の粘膜の状態を見ることによって、手相と同じで「胃相」「腸相」を確認することができます。
このことはとても大事なことであり、胃と大腸について一度理解すると、余計な心配や不安をもたずに毎日生活することができます。
胃がんのなりやすさはピロリ菌の有無と塩分の摂取量が大きく関与しており、プロの内視鏡ドクターが胃粘膜を詳細に観察するとピロリ菌の有無も一発でわかります。
また大腸がんのなりやすさは、がんが大腸ポリープ(腫瘍)からできることから、今後ポリープを切除していけば内視鏡検査を受けて、
大腸ポリープを切除すること自体が「究極のがん予防」になりえるといえます。
とはいえ、「胃カメラ・大腸内視鏡検査は結局キツイ検査なのではないか」
と不安に思うでしょう。
当院では胃カメラと大腸内視鏡検査に熟練した内視鏡ドクターが責任を持って検査を行います。
検査が辛くなりやすい部位やポイントがあるので、その部位が辛くならないような多くの工夫をして検査しています。
また検査は軽いウトウトするような鎮静剤を使用しますので、ストレスなく検査を受けていただけると自負しております。
検査を受けてみようかな、と思った方はまずご連絡ください。
検査方法や料金についてもご不明な点がございましたら、お問い合わせください。
「がんの実態、一般検診の精度、内視鏡検査を受ける意味」を理解して実際に検査を受けていただいた方から、
健康に対する意識が変わっていき、がんのリスクが下がっていっています。
一度、ご自身のためにも、大切なご家族のためにも内視鏡検査を検討してみませんか?
ご来院頂き、皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
自費診療では、胃カメラによる観察、ピロリ菌検査、大腸内視鏡検査による観察を行っています。
胃カメラや大腸内視鏡検査の観察で、精密検査や治療が必要であると判断した場合は、検査後に説明していきます。
メニュー | 金額(税込価格) |
---|---|
胃カメラ | 25,300円 |
ピロリ菌採血 | 2,200円 |
大腸内視鏡検査 | 35,200円 |
大腸内視鏡 検査時の下剤 |
3,300円 |
胃カメラ・ 大腸内視鏡検査同時 |
39,600円 |
検査時の全身採血 | 4,400円 |
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|---|
胃内視鏡(観察のみ) | 2,000円前後 | 3,750円前後 | 5,500円前後 |
胃内視鏡+病理組織検査 | 3,000円前後 | 6,000円前後 | 9,000円前後 |
胃内視鏡ポリープ切除手術 | 6,000円前後 | 11,500円前後 | 17,000円前後 |
※ 「病理組織検査」とは、胃の組織を一部採取して、炎症の程度やがん細胞が含まれていないかどうかなどを光学顕微鏡で詳細に調べます。
内視鏡検査でがんが疑われた場合の、確定診断にもなります。
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
---|---|---|---|
大腸内視鏡(観察のみ) | 2,500円前後 | 4,750円前後 | 7,000円前後 |
大腸内視鏡+病理組織検査 | 3,500円前後 | 6,750円前後 | 10,000円前後 |
大腸内視鏡 ポリープ切除(1か所) |
8,000円前後 | 13,500円前後 | 20,000円前後 |
大腸内視鏡 ポリープ切除(2か所) |
7,000円前後 | 16,000円前後 | 24,000円前後 |
大腸内視鏡 ポリープ切除(3か所) |
9,000円前後 | 18,000円前後 | 27,000円前後 |
※ 病理組織検査は、大腸や小腸の組織を一部採取して、がん細胞が含まれていないかどうかや炎症の程度などを光学顕微鏡にて詳細に調べます。
内視鏡検査でがんが疑われた場合の確定診断にもなります。病理組織検査の結果と今後の方針を、後日ご説明いたします。
※ 大腸内視鏡検査時に大腸ポリープを切除した際は、必ず切除したポリープの病理組織検査を行います。大腸ポリープにがん細胞が含まれていないかどうかや、ポリープが完全に取り切れているかどうかなどを、光学顕微鏡で詳細に調べます。
病理組織検査の結果と今後の方針を、後日ご説明いたします。
※ 大腸内視鏡検査時に大腸ポリープを切除した際は、「内視鏡手術」の扱いになりますので、民間の保険会社に加入している方で条件を満たす場合は、保険金の請求が可能です。大腸ポリープ切除時の費用の負担が少なくなりますので、加入している保険会社にお問い合わせください。
なお、当院は入院設備がなく、手術は「日帰り手術」の扱いになり、「入院手術」にはなりませんので、ご了承ください。