当院での大腸ポリープ
および
早期大腸がんに
対する内視鏡切除術の実際
THE FACT OF ENDOSCOPIC RESECTION


大腸ポリープ切除=
入院・つらい手術の
イメージを根本から変える
IMPROVE THE IMAGE OF COLONOSCOPY

当院では、大腸内視鏡検査で発見された大腸ポリープや早期大腸がんを、患者さんの肉体的・精神的・金銭的負担を軽減するために基本的には検査中にそのまま日帰り手術を行い治療しております。多くの医療施設では、まず一度大腸内視鏡検査(観察のみで切除は後日)を行い、大腸ポリープや早期大腸がんが見つかった場合はクリニックの場合には比較的大きな医療機関に紹介して入院切除してもらう、病院の場合には後日切除目的で入院して再度洗腸剤を服用してポリープを切除するということが多くなっております。

入院での切除になってしまいますと、2〜7日間ほどお仕事を休んだり、ご家庭のことができなくなってしまったりとかなり負担が大きくなってしまうと予想されます。入院費もかなり高額になってしまいますし、何より入院することにより会社の同僚やご家族などに迷惑がかかってしまうのではないかという思いが強くなり、精神的な負担が増してしまうことが一番の問題だと思われます。

当院では、大腸ポリープが発見された場合は、インジゴカルミンという特殊染色やボタン一つで切り替え可能なハイビジョン内視鏡付帯のNBI(狭帯域光観察)・100倍拡大観察を行い、将来がん化の可能性のあるポリープと判断した場合は、切除を行います。
また早期大腸がんと思われる病変が発見された場合は、内視鏡で切除できる(がんの深さが内視鏡で切除可能)と判断した場合には、そのまま同日に内視鏡的切除を行っております。

例外としましては、左の写真のように病変の大きさが横方向に大きく、切除後の病変の病理組織検査を詳細に行う必要がある平坦な病変で、特殊な切除方法であるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が望ましいと考えた場合です。

ESD(粘膜下層剥離術)を行う際にはどうしても入院が必須となるため、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が必要と判断した場合には、入院できる提携医療機関をご紹介し、入院切除となりますが、この選択は内視鏡検査中に的確に瞬時に判断させていただき、患者さんにとって最も利益のある最適な治療を提供致します。


例外としましては、左の写真のように病変の大きさが横方向に大きく、切除後の病変の病理組織検査を詳細に行う必要がある平坦な病変で、特殊な切除方法であるESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が望ましいと考えた場合です。

ESD(粘膜下層剥離術)を行う際にはどうしても入院が必須となるため、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が必要と判断した場合には、入院できる提携医療機関をご紹介し、入院切除となりますが、この選択は内視鏡検査中に的確に瞬時に判断させていただき、患者さんにとって最も利益のある最適な治療を提供致します。

大腸がんは「腺腫」と呼ばれる大腸ポリープから進展することが大部分であるため、
大腸ポリープを切除することにより大腸がんに進展することを予防することが可能となります。大腸がんはがんの中でも
「唯一予防することが可能ながん」
と言われている所以です。大腸がんは生活習慣病という側面もありますので、食事や運動などの生活習慣の改善でも
かなり発症するリスクを下げることができますし、何より大腸がんになる可能性の高い大腸ポリープを内視鏡で切除することで
大腸がんの予防がかなりの確率でできると言われています。

つまり、
大腸ポリープを切除すること=究極の大腸がん予防
と言えます。

ハイビジョン内視鏡

将来がん化する可能性の高い「腺腫」と呼ばれる大腸ポリープのハイビジョン内視鏡画像です

NBI

NBI観察により、より詳細に粘膜模様を診ることができます。将来がん化する可能性の高い大腸ポリープと判断しましたので、その場で内視鏡で切除します。

また当院の大腸内視鏡検査は、検査前の下剤(洗腸剤)の量を一人一人に合った適切な量を考え、
できるだけ少ない洗腸剤の量で済むようにしております。
電子カルテに大腸内視鏡検査中の腸の状態などを詳細に記載して記録としてきちんと保存しておりますので、
次回の大腸内視鏡検査もその方に適切な洗腸剤の量を決める事ができ、患者さんの負担が軽減します。
そのほか、当院では他院に先がけて検査中は空気の200倍以上吸収の早い炭酸ガスを用いた炭酸ガス送気システムを使用しておりますので、
検査後のお腹の張りや腹痛がまずありません。

これまでの古い時代の大腸内視鏡検査は検査前から検査後までお腹がツラいことが多く、大腸ポリープの治療も日数がかかるイメージが強かったと思いますが、当院ではこういった大腸内視鏡検査の辛いというイメージを根本から覆すために、
日々様々な細かい工夫を重ねて診療を行っております。

内視鏡的粘膜切除術の
手技の過程

大きな大腸ポリープや早期大腸がんといった病変を切除するときは、粘膜の下に生理食塩水を注入していきます。こうすることで病変をより安全に取り残しなく切除することができます。切除した部位は検査後の出血を予防するためにクリップという器具で切除部位を縫っていきます。

横スクロールでご確認いただけます。

  • 切除する範囲を詳細に観察して決定します。

  • 生理食塩水を局注します。

  • 人工隆起を形成します。

  • 病変を中心にして絞り、絞扼していきます。

  • 筋層を巻き込むと弾力を感じます。

  • 筋層を巻き込んだと感じた時は、空気を送り込みながら絞扼をゆるめ、筋層をはずします。

  • 再度、絞扼をして、持ち上げます。

  • 高周波電流を流して焼き切るように(粘膜を)切除します。


大腸ポリープ切除の実際
PRACTICE OF COLONIC POLYPECTOMY

症例

直腸に認められた15㎜大の早期直腸がん

  • step 01

    直腸に認められた、早期直腸がんのハイビジョン内視鏡画像です。

  • step 01

    100倍拡大ズームを行いました。粘膜模様がハッキリとして、がんが疑われます。

  • step 01

    NBI(狭帯域光観察)による内視鏡画像です。

  • step 01

    NBIに100倍拡大観察を併用しました。粘膜の血管走行が明瞭になり、より詳細な観察が可能になります。

  • step 01

    穿刺針を使用して、粘膜の下に生理食塩水を注入します。

  • step 01

    粘膜下が膨隆して、安全に取り残しがないように切除していきます。

  • step 01

    スネアという輪になった電気メスを使用して、腫瘍をくくっていきます。

  • step 01

    切除しました。切除後の出血がないか、確認します。

  • step 01

    クリップと呼ばれる器具で、傷口を縫っていきます。

  • step 01

    ポリープを切除した傷口を縫縮しました。

  • step 01

    切除した病変を、三脚鉗子と呼ばれる器具で丁寧に回収します。

症例

将来がん化する可能性の高い7mm大の大腸腺腫

  • step 01

    盲腸部に認められた7mm大の大腸ポリープのハイビジョン内視鏡画像です。

  • step 02

    NBI(狭帯域光観察)に切り換えたハイビジョン内視鏡画像です。粘膜表面の血管走行などから将来がん化する可能性の高い大腸ポリープであることが即座に判断できます。

  • step 03

    インジゴカルミン特殊染色を行いました。凹凸がハッキリして粘膜模様がより強調されます。

  • step 04

    スネアと呼ばれる大腸ポリープ切除器具で切除していきます。

  • step 05

    最近では、コールドポリペクトミーという電気を通さない切除方法の方が出血しないということが分かってきました。従来の電気を通すやり方に比べて切除方法に工夫とコツが必要とされます。きちんとした部位を締め付けると写真のようにポリープの色が変わってきます。

  • step 06

    出血もほとんどなく切除することができました。10mm以下の大腸ポリープであればコールドポリペクトミー(電気を通さない切除方法)で切除可能です。

  • step 07

    クリップという傷口を閉じる器具で切除部位を縫っていきます

  • step 08

    クリップで切除部位を縫縮して治療終了となります

症例

他院で切除できなかった30mm大の早期S状結腸がん

  • step 01

    S状結腸に認められた太い茎を伴った早期大腸がんのハイビジョン内視鏡画像です。

  • step 01

    太い茎があるのが分かります。

  • step 01

    まず血流の豊富な太い茎にクリップをかけて血流を遮断します。

  • step 01

    クリップで完全に血流が遮断され、茎の色とがん部分の色が変わったのが一目瞭然です。

  • step 01

    大きなワイヤーの電気メスで出血がないように慎重に太い茎部分を切除していきます。

  • step 01

    電気メスで切除した切除面です。クリップで事前に阻血していたため全く出血を認めません。

  • step 01

    クリップを追加して完全に切除面を縫縮していきます。

  • step 01

    切除された早期大腸がんです。阻血されて変色していた表面の色が元に戻っています。

  • step 01

    病変が大きすぎるため三脚鉗子でつかめないため特殊なネットを使って病変を回収していきます。

  • step 01

    病変を丁寧に回収して顕微鏡検査に提出します。病理組織検査では早期大腸がんでしたが、完全に内視鏡で切除されており、完治となっております。

症例

直腸に認められた粘膜下に潜っている直腸カルチノイド(がんもどき)

  • step 01

    大きさ4mm程の病変ですが、粘膜下に潜っているため特殊な切除方法で切除していきます。

  • step 01

    生理食塩水を粘膜下に注入して病変を膨隆(ふくらませます)させます。

  • step 01

    特殊なメスで病変の周囲を切開していきます。

  • step 01

    粘膜の下を電気メスで切開して切除しました。

  • step 01

    クリップで切除部位を縫縮します。

症例

上行結腸に認められた30mmの早期大腸がん

  • step 01

    上行結腸に30mmの病変を認めます。

  • step 01

    ハイビジョン内視鏡ではボタン一つでNBI(狭帯域光観察)に切り替え可能です。

  • step 01

    NBIの100倍拡大観察にて一部がん化した部位が詳細に観察できます。

  • step 01

    NBIの100倍拡大観察にて、この部位はまだがん化していないことが瞬時に確認できます。

  • step 01

    大きめの電気メスで切除していきます。

  • step 01

    電気メスで病変を的確に締め付けると表面の色が変わってくるのが分かります。

  • step 01

    出血のない切除面を確認できます。

  • step 01

    切除部位をクリップできれいに閉じていきます。

  • step 01

    三脚鉗子という器具を使って病変を回収していきます。