おはようございます、医師の秋山です。
漢方は知れば知るほど面白い薬です。
”みなさまにも、漢方の良さを知ってもらいたい”ということで今回は、一番有名な「葛根湯」について書きたいと思います。
葛根湯はどういうときに飲むのでしょうか?
「カゼでしょう」
というのは半分正解です。
「でもあまり効かないよね」
「味がキライ」
・・・という方には、葛根湯の”使用用途の幅広さ”と”正しい使い方”をぜひ知ってほしいです。
葛根湯は実は、
「どんな症状にでも効きます」。
落語に「葛根湯医者」という小噺があります。
来る人来る人に、葛根湯を薦める医者がいたそうです。
「頭が痛い?頭痛ですね。葛根湯をおあがり。
胃が痛い?葛根湯をおあがり。1日3回だよ。
お次は筋肉痛?葛根湯をおあがんなさい。
あなたは付き添い?退屈でしょう。葛根湯をおあがり」
最後はオチですが、意外とこの話は真実味があり、実際さまざまな症状の改善効果があるのです。
病名でこれ、といって葛根湯を飲むのではありません。
「何か調子悪いな」
「何か頭痛がするな。肩こりがするな」
など、調子が悪い・不快な症状が出始めた時に葛根湯を内服するとよくなるわけです。
もしくは、さまざまな西洋薬を飲んでみたけれど治らない、といったときに葛根湯を試す価値があります。
私もはじめは「本当かな」と思いましたが、自身で内服してみると本当に色々な症状に効くことが分かりました。
試しに胃が痛いときにも飲んでみたところ、治りました。
葛根湯をうまく飲みこなせたら、医者いらずです((+_+))。
カゼについては、効果を出すための内服のコツがあります。
「これはやばいぞ。風邪ひくかも。」と思った瞬間に内服することです。
はじめが勝負の分かれ道で、1分でも早く飲んだもの勝ちです。
結果的に風邪ではなかったとしても、症状が取れてしまえばよい訳です。
逆に「ああ、カゼを引いてしまった」とツライ症状がでてしまってからでは、あまり効果が出ません。
これはやばいと思ったときにバチっと飲んで、早く治してしまうのがコツです。
葛根湯には”麻黄” という成分が入っていて、汗を出して身体を奮い立たせます。
「どうしても仕事を休めないが、何か体調が悪くなりそうだ」というときに早めに飲むのがおススメです。
麻黄はいわばカンフル剤なので、短期決戦にはよいのです。
しかし長期にダラダラと内服していると、身体の元気が失われていき、逆に免疫力を落としてしまいますので、注意してください。
こんなに良い薬なのに、どうして総合感冒薬のように広まっていないのでしょうか?
それは、葛根湯が家に常備してある薬でないからです。
やばい、と思ったときに手元にないので、あとから薬局に行って飲んだとしてもすでに効果が薄くなってしまうのです。
葛根湯を家に常備しておくか、いつも手元に持っておくと、病気を未然に防ぐことができます。おススメです