福岡天神内視鏡クリニックブログ

高濃度ビタミンC点滴の驚くべき抗酸化作用

おはようございます。医師の秋山です。

先月お話ししたビタミンCの効能については、多くの方から反響をいただきました。

ビタミンCの効率的な摂取方法 ~ビタミンCの効果を最大限に生かすために

ビタミンCの経口摂取を今より10倍増やす(意識して摂っていく)ことで、さまざまな恩恵を受けられることを知っていただけましたら嬉しいです。

ブログを書いて以降、当院で高濃度ビタミンC点滴に興味を持っていただいた方が増えました。

そこで今回は「高濃度ビタミンC点滴の効能」について、経口(食事やサプリから)摂取との違いを中心にお話ししたいと思います。

 

前回のブログで、ビタミンCの経口摂取はたくさん一気に摂りすぎても、ある一定の血中濃度よりは上昇せず、逆に下痢などの副作用を起こすことを書きました。

つまり小腸から吸収されるビタミンCには限度があることが分かります。

逆に小腸を介さないで直接血管内にビタミンCが入ることができれば、ある一定の血中濃度を上回ることができる」ことになります。

ある一定の濃度を超えてビタミンCが血中に入ったときに、これまでになかった効果が得られるようになります。

それが、「抗酸化作用によるがんに対する治療・予防効果」です。

がんに対する効果を挙げてみましょう。

ノーベル化学賞・ノーベル平和賞を受賞したライナス・ポーリング博士が、1976年と1978年に臨床論文を発表しました。

それは「末期進行がんの患者さん200人に点滴でビタミンCを投与すると、生存期間が対照群2000人と比べて4.2倍から6倍に延長する」

というものです。

当時はこの「一見胡散臭い印象」のビタミンC点滴療法に対して、批判が相次ぎました。

1979年Mayo 医科大学からは、「進行がんにビタミンC大量投与の有益な効果はない」

と発表しました。この研究では進行がん患者さん60名に2か月間ビタミンC10gを経口摂取して、対称群と比較検討しています。

結果は症状、食欲、体重に大差はなく、生存曲線も変化がなかったことが示されました。

この発表からすると、ビタミンCを大量に摂取してもがん患者さんの生活の質(Quolity of Life)を改善できない印象となってしまいます。しかし、本当でしょうか?

もう一度Mayo医科大学の研究結果を見直してみましょう。

「進行がん患者さん60名は、2か月間ビタミンC10gを経口摂取していた

そうです。大量のビタミンCを「点滴でなくて経口摂取していた」のです。

経口摂取では、ビタミンC血中濃度を上げるのに限界があるため、あまり効果が得られなかった可能性があります。

2005年になり、NIH(アメリカ国立衛生研究所)、NCI(アメリカ国立癌研究所)、FDA(アメリカ食品薬品局)が

薬理学的高濃度のアスコルビン酸は選択的にがん細胞を殺す

という発表をしました。

アスコルビン酸とは、ビタミンCのことです。

薬理学的高濃度とは、以前からぼやかして書いてきました「ある一定の血中濃度以上」のことです。

とても簡単に書きますと

高濃度で血管内に入ったアスコルビン酸(ビタミンC)は、生体内でビタミンCから「過酸化水素(H2O2)」を作り出します。

この「H2O2は強い抗酸化作用」を持っていて、がん細胞のアポトーシスを誘導する(がん細胞の死を自己誘導させる)と言われています。

この続きは次回に書きます。

がん治療で一番大切な治療は、いまでも手術・抗がん剤・放射線療法、そして今注目のがん分子標的療法です。

高濃度ビタミンC点滴は、がんの標準治療ではなくあくまで補完治療の1つです。

次回に書く予定ですが、高濃度ビタミンC点滴はこのようながんの標準治療を支持して治療効果を発揮させることができます。

完治の見込みがないと主治医に宣告された場合の、藁をもすがる思いでいる患者さんへの最後の砦にもなりえます。

また、高濃度ビタミンC点滴は抗がん剤治療におけるつらい副作用を軽減することができます。

高濃度ビタミンC点滴は原則、副作用がありません

次回は、①高濃度ビタミンC点滴のがんに対する効果のまとめと②美肌・アンチエイジング、花粉症・インフルエンザ予防などについて書きたいと思います。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。