福岡天神内視鏡クリニックブログ

大腸がんとお肉の関係

新年明けましておめでとうございます。

福岡も年末から時折、雪がチラつくような寒い日が続いていますが、くれぐれもご自愛ください。

 

 

以前に大腸がんのリスク因子(将来大腸がんを引き起こす原因になるもの)には、大きく分けると、①年齢、②性別、③遺伝的因子、④環境因子(飲酒、喫煙、食事、運動といった生活習慣)があることについてお話ししました。

大腸がんの危険因子① – 福岡天神内視鏡クリニックブログ (fukuoka-tenjin-naishikyo.com)

大腸がんの危険因子② – 福岡天神内視鏡クリニックブログ (fukuoka-tenjin-naishikyo.com)

大腸がんの危険因子③ – 福岡天神内視鏡クリニックブログ (fukuoka-tenjin-naishikyo.com)

 

大腸がんの発生に確実に影響を与える環境因子として、食事に関するものは赤身肉(牛肉、豚肉)、加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージ)と報告されています。

診察時にこのお話をすると、食事に関して興味を持たれる方が多く、お肉はどれぐらいまでは食べてもいいのですか?という質問を受けることがあります。

 

 

 

これに関しては、国立がん研究センターの予防研究グループが2011年に報告している「赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて」という疫学研究があります(Asia Pac J Clin Nutr 2011年20巻603-612)。

ここでいう赤肉とは牛肉、豚肉のことでこの中には鶏肉は含まれません。

鶏肉は基本的に大腸がんのリスクはなく、たくさん食べても問題ありません。

鶏肉はヘルシーなだけでなく、牛肉や豚肉に比べると価格もお値打ちで我が家でもメインのタンパク質摂取源です。

 

 

この疫学研究によると、1日9gの牛肉(1カ月270g)を食べると大腸がんのリスクが上昇するとされています。

1ヶ月に1回焼肉に行くと大腸がんのリスクが上がってしまいます(成人が1回の焼肉で食べる牛肉の量は平均350g程度と言われています)。

一方、豚肉は、牛肉の4倍にあたる1日36g(1カ月1000g)以上食べると大腸がんのリスクが上昇するとされています。

 

 

加工肉に関しては、この疫学研究においては、日本人の一般的なレベルの摂取量であれば男女ともに明らかに大腸がんのリスクを高めないという結果でした。

しかし、男性では、加工肉の摂取量が多くなると大腸がんのリスクが上昇すると可能性があるとされています。

 

 

 

とはいえ、大腸がんが怖いからといって、「明日から肉を食べるのをやめます」といった極端な生活にシフトする必要はないと思います。

大腸がんは、何か一つのことが原因となって発生しているのではなく、①年齢、②性別、③遺伝的因子、④環境因子が複雑に絡み合って、大腸がんの原因になると考えられています。

 

赤肉や加工肉が大腸がんの発生に関与していることは間違いありませんが、必要以上に恐れる必要はありません。

なぜかというと、大腸がんは定期的に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受け、ポリープがあった場合は、切除することで予防が可能だからです。

もちろん、これらのリスク因子の摂り過ぎはNGです。

でも、ほどほどにこれらの摂取を楽しみつつ、定期的な大腸内視鏡検査で大腸がんの予防をするというのが、ストレスなくリーズナブルだと思いませんか?

 

 

 

私たちは皆さんが一人でも胃がんや大腸がんで亡くなるのを防ぎたいと思い、日々診療を行っています。

お悩みの場合は、是非一度ご相談ください。

本年も引き続きよろしくお願い致します。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。