福岡天神内視鏡クリニックブログ

便秘を考察する その35 タイプ別慢性便秘症(直腸性便秘について)

おはようございます。

前回、慢性便秘症は、その原因によって「けいれん性便秘」「腸管形態異常型便秘(ねじれ腸、落下腸など)」「直腸性便秘」「排出障害性便秘」「弛緩性便秘」に分類することができることをお話し、その中のけいれん性便秘について解説しました。

 

腸管形態異常型便秘(ねじれ腸、落下腸など)に関しては、過去の下記ブログで解説していますので、そちらを参考にしてみてください。

便秘を考察する その25 腸の形と便秘

便秘を考察する その26 腸の形のセルフチェック

便秘を考察する その27 ねじれ腸の便秘の特徴

便秘を考察する その28 落下腸の便秘の特徴

便秘を考察する その29 ねじれ腸・落下腸の便秘改善マッサージ

便秘を考察する その30 腸のマッサージの効果を高めるコツ

便秘を考察する その31 腸のねじれを解消する運動

 

 

今回は残りの便秘症の中の「直腸性便秘」について解説したいと思います。

直腸性便秘は直腸が鈍感になったため、便意を感じることが出来なくなる便秘です。

直腸性便秘の原因は、トイレに行きたいと感じた便意を我慢することです。

 

朝は通学・通勤の準備でバタバタ忙しいからトイレに行く時間がゆっくり取れないとか、学校や勤務先で排便するのは恥ずかしいからとか、色々な理由で折角、便意を感じているのに何度も我慢を繰り返していると、直腸の近くが鈍くなってきます。

すると、便が直腸にやってきたことを直腸自体が感じ取れなくなるため、便意そのものが生じなくなります。直腸が便意を感じないと、脳に排便の指令を出す刺激が届かないため、直腸にドンドン便が溜まっていくことになり、さらに排便しにくい状態になってしまいます。

こうして出来上がる便秘が直腸性便秘です。

 

 

【対処法】

このタイプの便秘は、まずは直腸に溜まっている便を浣腸などを使っていったん完全に排便させ、直腸を空にする必要があります

その後は、1日のうちで大腸の沖が活発になる時間帯(通常は朝食後か夕食後)に毎日、便意を感じていなくても3分くらいはリラックスした状態でトイレに座るようにし、排便習慣をつけるトレーニングを行います

これを毎日繰り返していると2週間程度で直腸の感覚が戻り始めて、便意を感じることが徐々に出来るようになってきます。

便意を感じたら我慢をせずに、時間をおかずに直ぐにトイレに行く習慣をつけましょう。

 

 

また、排便時の姿勢もスムーズな排便には重要です。

一番肛門側の大腸である直腸は恥骨という骨にくっついた恥骨直腸筋という筋肉によって固定され、「く」の字に折れ曲がっています。この折れ曲がりを直腸肛門角と言います。

欧米人に比べて日本人は、この直腸肛門角の折れ曲がりが強いため、便がスムーズに通過しづらくなっています。しかし、前かがみの姿勢をとると、この折れ曲がりが直線化し、折れ曲がりが緩やかになるため、便が通過しやすくなります。逆に背筋を伸ばした姿勢や後ろにもたれるような姿勢をとると折れ曲がりが強くなるため、便が通過しにくくなります。

現在、洋式トイレが主流ですが、日本人の多くは、洋式トイレでは直腸肛門角の折れ曲がりが強くなり、排便しづらくなります。昔の和式トイレは、前かがみの姿勢となるため、実は日本人の排便スタイルには最適のトイレだったんです。

便秘患者が増えているのは、食生活の欧米化だけが問題ではないかもしれません。

では和式トイレでと言いたいところですが、そもそも、今は和式トイレ自体ほぼ見かけません。

では、どうすれば良いかと言うと、便座に座った状態で「ロダンの考える人」の姿勢を取れば良いんです。足台を置いてその上に足を置き、身体は前かがみにします。

太ももと背骨の角度が約35度になる姿勢が最適な姿勢です。

排便習慣をつけ、排便姿勢にこだわるだけで、快便になる方もおられます。

 

 

一度、試してみてください。

お悩みの方は是非一度、ご相談ください。

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秋山 祖久総院長

国立長崎大学医学部卒業。
長崎大学医学部付属病院・大分県立病院など多くの総合病院で多数の消化器内視鏡検査・治療を習得。2018年11月より福岡天神内視鏡クリニック勤務。